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第九話 奇襲

「うぅ……恥ずかしぃですよぉ。」

「そうかぁ?よく似合ってると思うけどなぁ?」

美也子が涙目になっているが、俺は、イイと思う。

美也子が被服室でみつけた衣装のうち、今着ているのは、昭和後期の魔女っ娘モノをオマージュしたものであり、レトロなロリ衣装に、美也子のけしからんバディが背徳感を醸し出している。

他は、かなり危ないゴスロリメイド服とか、少し動くだけで下着が丸見えの、ミニタイトのナース服などだ。

後、濡れたら溶ける、紙で出来たセーラ服とか……。うちのコスプレ部、何考えてんだ?


まぁ、今着ている魔女っ娘ものが一番露出が少なかったという事で選んだのは美也子なんだから我慢してもらうしかない。


そんな他愛もない話をしながら、購買部に到着した俺たちは、棚に並ぶ遺された物品を漁っていた。

使えそうなものを探していると、突如として背筋が凍るような嫌な気配を感じ取る。

何かがこちらに迫っている。


「美也子、危ない!」と叫びながら、反射的に美也子を突き飛ばす。

その瞬間、俺たちが立っていた場所に鈍色の塊が音を立てて突き刺さった。

間違いない、狙撃だ……誰かが俺達を狙っている?


俺は素早く周囲を見渡し、射線を避けるべく物陰に身を隠した。

狙撃手の正確な射撃をかわしつつ、反撃のタイミングを計る。

俺も美也子も、戦闘という面においては向いていない。どちらかと言えば後方支援タイプだ。

だけど、ヒーラー兼バッファーの彼女を矢面に立たすようでは、終わっているだろうと思う。

俺は美也子に物陰に隠れるように言うと、スナイパーの位置を探りながら、俺は戦略を立て、次の行動を決意する。


静寂が支配する中、戦いの緊張感が高まっていく、


物陰に身を潜めた俺は、息を潜めて狙撃手の動きを探る。

静寂の中で、わずかな物音や風の流れが異常に敏感に感じられる。

相手はどこかに潜んでいる。こちらの出方を窺っているに違いない。


弾丸がかすかに壁を砕く音が響き、俺は瞬時に体を低くして回避する。

狙撃手が弾を込め直すわずかな隙を狙って、俺は別の物陰に身を移す。

しかし正確に俺を狙った弾丸がわずかに腕を掠める。

「くっ、こっちの位置がわかるのか?」

どうやってか分からないが、相手には俺が隠れているところがわかるらしい。

弾丸が、正確に俺を狙っている。

辛うじて躱すことが出来ているのは、相手が狙っているのが、俺の腕や脚だからだ。

つまり、俺を殺す気はない、という事。

頭や顔を狙われていたら厳しい戦いになっていたことは違いない。

「くっ、じり貧だな。」

俺は、弾丸を無造作に交わす振りをしながら、相手との距離を詰めていく。

奥の手があるのだが、それを使うためにはある程度近づかなければならない。

狙撃手もまた、俺の動きに気づき、次の一撃を放つ準備をしている。これが生死を分ける瞬間だ。

「クッツ、少し遠いが……いけっ!」

俺が収納の開け愚痴をスナイパーの頭上に定める。

と同時に俺の額にレーザーサイトが当たる。

どっちが早いか?一瞬の差が生死を分ける……とその時。

だが、その時、背後から射線に美也子が飛び込んでくる。


「やめて、二人ともストップだよっ!!」


俺は美也子にタックルをし、射線からその身体をずらす。

同時に、俺の腕を貫く弾丸。


「クッ……美也子、下がれ!危険だ!」


だが、美也子は俺の言葉を聞かず、両腕を広げて狙撃手と俺の間に立ちはだかる。彼女の決死の表情を見て、俺は一瞬言葉を失う。


「A組の風間君だよね?私達が争う理由なんてない、そうでしょ?」

「俺にはあるけどな。」

『彼方は黙っててっ!」

「あ、ハイ……」


美也子の必死な訴えが場を支配し、静かな空気が再び戻った。

狙撃手も、その言葉に一瞬の迷いを見せる……俺たちの戦いは、一時的に中断されたかのようだった。


「……争う意思がないってなら、先ずは武装解除してもらおうか?」

狙撃手が姿を現す……が、その手には銃が握られていて、その銃口はこちらを向いている。


「武装解除も何も俺は丸腰なんだけどな?」

俺はそう言って何も持っていないことをみせるように手をひらひらと振って見せる。

だからと言って侮られないように一言付け加えるのを忘れない。

「俺は「スキル持ち」だからな。」

その言葉を聞いて、風間の足が一瞬止まる。

しかし、彼は負けず嫌いなようで、ニヤリと笑って言う。

「奇遇だな。俺も「スキル持ち」だぜ。」

俺と風間が睨み合う。

彼のスキルは、おそらく「狙撃」だろう。

いくらユニークスキルが強力とはいえ、攻撃特化のスキルに対し、俺のスキルで対抗することは難しい。

しかし、ここははったりが必要な場面だ。

俺は笑みを崩さず、笑い合う。


「えっと、話し合い……しましょ?」

美也子が困った顔でそう言うのだった。


◇ ◇ ◇


俺の名は風間信也。

あの、くそったれな出来事で、幼馴染のかすみとその妹は大怪我を負う事になった。

俺は二人を助けるために、魔物が落とすという、ポーションを探しているのだが、武器は手にした改造モデルガンのみ。

これでは心もとないため、何かないかと購買に来たところ、不審な奴らを出会う。

アイツらも購買を物色しているようだ。

ここで、アイツらが味方だと勘違いしてはいけない。

俺はそれで一度い目を見ているからな。

かと言って、むやみに敵対する気もない。相手が引いてくれればいいのだ。

ただ、俺の持つスキルは「感覚拡張」。

五感を研ぎ澄ませることで、視覚や聴覚、触覚までを強化する能力だ。

視覚拡張を使う事で、モデルガンの射撃を精密に行うことができるが、それ以上のことは望めない。

所詮は補助的なもので、戦闘向けの派手なスキルではないからだ。


今、俺の手に握られているモデルガンが唯一の武器だ。

狙いを定めることに関しては、誰にも負けない自信があるが、相手が本物の武器を持っているなら、俺のはったりなど通用しないかもしれない。


購買部に入り込んできた不審者たちの気配を感覚拡張で探りながら、俺は一瞬の隙を伺っている。

だが、頭の片隅では不安が消えない。この程度の力で、果たして彼らを追い払うことができるのか?


「やるしかない…」


俺は深呼吸をして、冷静さを保とうとする。

感覚拡張を最大限に活用し、不審者たちの動きを見極める。

そして、できる限りの精度で、モデルガンの引き金を引いた。

相手に自分の正確な狙いを示すことで、彼らにプレッシャーを与え、退かせるのが狙いだ。


一発、一発と音が響く中、早く逃げてくれ、と、俺は心の中で祈るように思う。

このはったりに近い力で、彼らを追い出すことができるのかどうか……?

しかし、それでも俺は諦めるわけにはいかない。かすみたちを守るために、俺はこのスキルを最大限に活かして戦うしかないのだ。


そして、緊迫の瞬間……。

俺とあいつは互いに次のアクションが決定打になる、と本能的に感じていた。

背筋に冷や汗が落ちる。

ゾッとする感覚を抑え込んで俺は引き金を……

「ダメっ!A組の風間君でしょ!」

あいつとの射線に女生徒が飛び込んでくる。

……まずいっ!

射線は彼女の頭にある……モデルガンとはいえ、改造してあるこの威力の玉を頭に喰らったら……。

俺は慌てて手を止めようとするが、その思考は一瞬遅く、すでに引き金は引かれた後だ。


……ふぅ、アイツが交わしてくれたおかげで、女の子がケガをせずに済んだ。助かったぜ。

しかし、あの娘はB組の委員長だよな?確かかすみと仲が良かったはず。

……なら敵じゃない……のか?


「俺はスキル持ちだからな。」

一応仲良くしてやろう、と話しかけたらそんな事を言うあいつ。

ここは、下出に出たら負けだ。俺は精一杯のはったりをかます。

「奇遇だな。俺もスキル持ちだ。」

さり気なく、モデルガンを弄ぶ。

これで銃に関する戦闘系のスキルだと、勘違いしてくれるといいんだが……。


俺とあいつのにらみ合いが続く中、B組委員長の仲裁により、俺達は取り敢えず話し合う事となったのだ。




うん、展開がゆっくり過ぎて、タイトル回収が出来ないです。

「肉棒」を手に入れるには、後何話必要なのだろう?



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