表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cl⊱own  作者: Joker
7/12

2章 6話-消えた影-

とうとう北の大地にも進行してきたネメシスたち。

社会に溶け込むように人間の姿を擬態する者たちまで現れた。

仁はそんな上級ネメシス討伐の任に就く。

 ネメシスの根城になっているという廃墟に潜入した。上級ネメシスが此処に現れたという目撃情報が多数ある。初めてその手合いと戦うことになる。緊張が走る。人に成りすまし、のうのうと暮らしているバケモノだ。何を考えているのかわからない。もの凄い嫌悪感だ。勝手に他の星から地球へやってきて、この世界を侵略して蹂躙しようとしている。まるで虫食いのように広がる被害。悪い虫は……駆除しなければならない。

純一:「聞こえるか、進藤。敵は上級ネメシスだ。どんな手段を使ってくるかわからない。気をつけて中を探索しろ。」

仁:「了解……。」

中を確認するが人気はおろか、なんの気配も感じ取ることは出来なかった。結局のところ外れを引いたのだろうか。あらかた全て確認し終えた。東雲も外で待機はしている。だが……自分1人で全て片付ける。ネメシスはなんであろうと許すことは出来ない。出来ることなら自分で全て倒したいくらいだ。


 東雲美沙は若く、綺麗な見た目をしている。おそらく……こんなことがなければ彼女も普通の女子大生で今頃青春を謳歌しているのだろう。彼女は黙ってモニターを見つめながら待機していた。そんな部下に声をかける。

純一:「わざわざ若いのに、いばらの道を選んだのだな……全てを忘れて生きることも可能だっただろうに。」

美沙:「忘れることなんて……あの時の光景が、目に焼きついて離れません。毎晩、夢にも見て……本当に忘れることが出来るのなら……それは、私の復讐が成就した時です。」

復讐が成就した時、彼女は全てから解放されると信じている。しかし、復讐の成就とは何を指すのだろうか。全てのネメシスが滅んだ時だろうか、それとも……自分の親兄弟を殺されたネメシスを討伐した時か……おそらく、彼女も十分に理解している筈だ。彼女の復讐は誰に向けられているのかと。既に復讐対象のネメシスは死んでいるかもしれない。ならば、全てのネメシスを殺すことでそれを晴らす。無限の負の連鎖だ。終わりのない負の感情。彼女が復讐に例え、成功したとしても家族は返ってこない。

純一:「復讐か……難しいな。それは……君の家族を奪った者の命を奪うことか……それともその仲間を根絶やしにすることか。」

私の言葉に彼女は黙った。やはり、理解はしているのだろう。だが、心がそれを許さないのだ。いいようの無い暗い炎が彼女の中で仄暗く燃え続けている。何をすれば終わりなのか、どこまですれば終われるのか……行きつく先の無い底無しの闇。それを彼女は自分自身の命、生きる時間を使って灯りを生み出し、照らしている。闇の中、手探りで落とした物を探すかのように。終わりのない探し物。若者がこんなに苦しむ世界を……私は変えてやりたかった。私も彼女と似たような境遇にある。彼女に偉そうに説教出来る立場ではない。ただ、1人でも多く……まだ未来がある若者たちのこれからに明るい未来が訪れるようにと、そう願うばかりだ。

美沙:「すみません……少し、外の空気を吸ってきます。」

そう言い残し、彼女は作戦車輌から出て行ってしまった。この組織に属する者は少なからずこのように何かを抱える者が多い筈だ。わざわざ、死地へ赴きたいと志願する若者たちで溢れている。彼らは……きっと彼女のように彼らのことを憎んでいるのだろう。だけど、私は彼らに教えてあげたいのだ。これは……戦争なのだ。ネメシスのおかげで第三次世界大戦の危機は免れた。しかし、変わりは無いのだ。物資不足で人類が争ったように。今度は異種族と星を賭けて戦っている。これは異種族間での戦争なのだ、と。


 叫び声が聞こえる。誰のモノか、急いで駆けつける。そこには……ネメシスに襲われそうになっていた人間の姿があった。

襲われている男:「た……助けてくれぇ!」

どうしてこんなところに一般人が……考え事は後だ。今はあのバケモノからあの男を遠ざけなければ……。

仁:「……変身!」

デバイスを装填してルシファーへと姿を変える。思いきり、ネメシスを蹴飛ばして男との距離をとろうとするがなんとも知性が高いのか……ネメシスは人間の男から離れようとはせずに此方との距離を上手くとる。

仁:「まさか……コイツが上級ネメシスなのか?」

取っ組み合いになり、男から引き剥がそうと躍起になるがかなり力が強い個体のようだ。思いきり蹴り飛ばして必殺の一撃を放とうとする。

仁:「フン……上級ネメシスも、ただのネメシスと同じじゃないか。」

エネルギーの争点が右の拳に伝わる。この一撃で……葬り去る。家族を殺した……この憎いバケモノを……。

仁:「……ぐあぁあ!」

思わず、後ろから思いきり衝撃が走った。ごろごろと床に転がり、衝撃の走った方に振り向く。するとそこには右腕だけ形状変化をしている先程の男の姿があった。しまった……完全に失念していた。上級ネメシスは人に擬態することが出来ると言っていた。目の前のネメシスがそれだと思っていたが、どうやら背後の男がその上級ネメシスだったらしい。

上級ネメシス:「クク……油断していたみたいだな。バカなヤツだ。」

不意打ちとは……随分と人間風情なことをしてくれる。ゆっくりと立ちあがり、上級ネメシスを睨みつける。

仁:「……!?」

背後からもう一体のネメシスに羽交い絞めにされてしまった。身動きが……とれない!

上級ネメシス:「クク……ハハ!こんなものか、所詮使う者が人間だと。」

どういう意味だ……しかし、考えている暇などない。今はこのピンチをどう切り抜けるかが問題だ。無情にも男は完全にネメシスの身体に変化すると此方に近づいてきた。しまった……まさか、こんなところで終わるなんて……。

上級ネメシス:「死ね、人間!!」

そんな時だった、突き出た触手よりも素早く何かが、上級ネメシスの身体を吹き飛ばした。ウェポンアーマー、アスタロトの姿だ。

上級ネメシス:「がぁあああ!」

今度は地面に転がる上級ネメシス。そこにはアスタロトの姿があった。アスタロトは一方的に上級ネメシスに殴りかかる。だが、上級ネメシスは危険を察知したのかその辺に転がっていた消火器を触手で掴むと思いきり地面に叩きつけた。消火器の中身がぶち撒けられ、煙幕のようだ。白い煙幕が晴れるとそこには最早、2体のネメシスの姿はなかった。

通常のネメシスとは違い、人間と同等の知能を持つ上級ネメシス。

そんな彼の策略に引っかかってしまった仁の窮地を美沙のアスタロトが救う。

結局仕留めそこなってしまったのだが敵を知る良い機会になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ