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15話 シヨウって何?


あれから二日経ったある昼下がり。


アキンドから借りた拠点の整理も、メイのおかげでほぼ終わりを迎えていた。


メイはアキンドから、当分の間、イノチたちの手伝いをするように言われていたようで、ここ数日は館に昼夜問わず滞在し、家事に掃除とさまざまなことをやってくれている。


メイにもアキンドにも頭が上がらないなと、イノチは思った。


そんなこんなで、そろそろ本格的にゲームを進行させるべく、イノチはアリエルから受けた説明をもとに、ゲームの仕様を確認していた。



「とりあえずこんなもんかな。」


「BOSS…端末なんかずっと眺めて、何していたわけ?」



ダガーの手入れを行いながら、エレナがイノチに声をかける。



「あぁ…仕様を確認してたんだよ。」


「シヨウ…?」



イノチの言葉にエレナは不思議そうに首を傾げた。



「要は、この世界ではどういうことができるのかを確認していたわけ…装備の仕方、お金の使い方、ガチャの回し方などなど、知っているようで知らないことがたくさんあるからな。」


「ふ〜ん…でもそんなの、その都度調べたらいいじゃない。」


「わかってないな。知ってるのと知ってないのじゃ、その時の判断とか変わってくるんだよ。情報は武器になり得るんだからな。」


「あっそ…で、何がわかったわけ?」



興味もなさそうに再びダガーの手入れをしつつ、エレナはイノチに質問した。



「…ったく、これだから…まぁいいけどさ。まずは装備品からな。」



《装備》

獲得したキャラには、武器や防具、魔具が装備できます。それぞれにはレアリティがあり、それにより性能が変わります。(N、R、SR、UR etc)

装備は街で買ったり、魔物を倒して得られる素材で作ることも可能ですが、特殊なスキルが必要となります。また、プレイヤーには専用装備が存在します。



「そんなの基本中の基本でしょ。」


「フッ…」



顔も向けずに鼻で笑うエレナに、イノチはニヤリと笑みをこぼした。


すると、エレナが手入れをしていたダガーが光の粒子に変わり、消えてしまったのだ。



「えっ!?」



エレナは驚きな表情を浮かべたが、すぐにイノチが犯人だと気づいて睨みつけた。



「これが装備の特性な。キャラの装備品はプレイヤーが自由に脱着可能。」



ニヤニヤして自分を見るイノチに、エレナは手をあげて観念した。



「…もう!わかったわよ、ちゃんと聞きけばいいんでしょ!」


「ハッハッハッ!わかればよろしいのだよ、わかれば!」



ため息をつくエレナに、イノチは勝ち誇ったように笑って「ギブ」と唱える。するとエレナの手元にダガーが再び姿を現れた。



「対象者に意識を向けて『ギブ』もしくは『テイク』と念じればいいらしい。じゃあ次はモンスターな。」



そう話しながらイノチは説明を続ける。



《モンスター》

街の外に分布する魔物でいろんな種類がいます。倒すと経験値、ゴールド、強化薬、装備素材などをドロップするため、積極的に狩りましょう。ザコ〜ボス級まで強さもさまざまです。



「モンスターについてはそれだけ?話の流れからするに、そんなわけ無いわよね。」


「もちろん!ここまではアリエルに聞いてたことだけど、その先に重要なことがあった。」


「重要なこと…?」


「そう!モンスターから得られる経験値は、プレイヤーである俺が直接倒さないと入ってこないらしい。あとエレナたちキャラクターたちは、強化薬でしか強化はできないこともわかった…」



携帯を見ながら、イノチは少し悩ましげに話す。



「今更ながら自分の職業を『エンジニア』にしたことを少し後悔してるよ…どうやって戦えばいいのやら。」


「まぁ、私が弱らせてBOSSがトドメを刺す、これを当分は続けるしか無いってことね。ちなみにだけど、『ロングソード』や『木の盾』とかって、BOSSは装備できないの?」


「ん…?俺がか?」



エレナに問いかけに、それは考えていなかったといった様子で、イノチはアイテムボックスの中身を確認する。



「え…と、『ロングソード(N)…耐久性や攻撃力など全てにおいて普通の剣です。誰にでも装備可能です。』だって!と言うことは俺にも使えるかも!」


「だったら、BOSSも戦いに参加できるかもしれないわね。」


「あぁ!『ハンドコントローラー』はプレイヤー専用装備だったからな…てっきり他の装備は使えないと思い込んでたよ。」


「よかったじゃない…それで?他にもわかったことがあるんでしょ?」


喜ぶイノチを見て、エレナも小さく笑みをこぼすと、他にもないのかと催促する。



「そうだな…あとはこんな感じかな。」



《プレイヤー》

モンスターを倒して、まずはレベルを上げてください。レベルに応じた機能が開放されます。また、職業により専用装備があります。

※レベル5で『フレンド』開放

※レベル10で『クラン』『ランクマッチ』『クラン戦』開放

※プレイヤーレベルは端末で確認できます


《バトルシステム》

特に決まりはありません。キャラクターや自身の持てる力を駆使して戦ってください。攻撃を受けると痛いのでご注意を…


《ダンジョン》

ダンジョンは森の奥深くなど人目につかない様々なところで、魔力が溜まることにより自然に生成されます。最奥にはレアな宝などがありますが、その分、強いモンスターが生息しています。より強さを目指すならダンジョンにlet's challenge!!


《ギルド》

各都市や街に存在し、冒険者ギルドや商人、鍛治屋などの生産系ギルドなど数多くのギルドがあります。プレイヤーはギルドに所属可能で、条件を達成するとギルド特有のクエストが発生することがあります。

その報酬は、ゴールドや装備品、道具、素材などクエストの難易度に合わせて入手できます。


《キャラクター》

ガチャでの排出か、結晶欠石を規定数あつめると獲得できます。物理・魔法アタッカー、ディフェンダー、ヒーラーなどキャラによって特性は異なり、装備もできるものとできないものがあります。

※専用装備はイベントで入手可能です。

現在はアタッカーとディフェンダーとヒーラーのみが排出されます。

※今後はタンク、トリックスター、サポーター、アルケミスト、テイマー、エンチャンターなど数多くのキャラを実装予定。


《プレゼントボックス》

たまに運営から送られるプレゼントなどが保管されます。保管期間は30日。


《イベント》

たまに開催するからお楽しみに!



「…とまぁ、今わかるのはこんなとこかな。アイテムボックスはいろいろ触ってわかってるからいいとして、他にも気になるものがあるけど、まだ見れないんだよ。」



携帯に目を落とすと、『フレンド』『クラン』など他にもいくつか機能があるが、『coming soon』と書かれていて、その内容は確認できなかった。



「その『フレンド』とか『クラン』ってなんなの?」



エレナが画面を覗き込んでイノチに問いかける。



「これか?簡単に説明するけど、『フレンド』っていうのは俺の他にもプレイヤーがいて、ここに登録すれば連絡し合ったり、一緒に戦ったりが可能な友達になれる…『クラン』はその集まりってとこかな。」


「ふ〜ん…」



イノチの回答に、エレナは腕を組んで納得したように顔を上げた。



「アリエルも言ってたけど、その辺の機能解放にはプレイヤーのレベルを上げる必要があるみたいだからな。まずはレベル10を目指すぞ!」


「了解よ、BOSS。」



二人が気合い十分といったように話していると、ドアがノックされ、メイが入ってきた。



「失礼します。ご昼食の準備が整いました。」


「もうそんな時間か…ありがとう、メイさん!」


「いっ…いえ…」



イノチに笑顔を向けられて、メイは顔を赤くする。



「よし、エレナ!飯を食べたら森に向か… あれ?エレナのやつ、どこ行った?」



いつの間にか姿を消したエレナを探すように、イノチがあたりを見回していると、メイが声をかける。



「エレナ様でしたら、目にも止まらぬ早さで、今しがた出て行かれましたよ…」



イノチはそれを聞いて、あきれたように額に手を当てて、天を仰ぐのであった。

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