第五話 元ネタ不明の名メニュー
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放課後の図書館にて、白梅の能力の考察、研究を行った翌日。俺は、中々の圧を放つクラスメイト達に囲まれていた。
「えーーーっと、何コレ」
「取り調べだよ、薄野君」
「ならカツ丼くらい寄越せ。いや、朝からはちょっと重いな。食券で許そう。どちらにしろお茶くらい出して然るべきではないのかな?」
「……意外に大物だな。いや、馬鹿なのか」
うるせぇ。気圧されたら押し切られて負けるんだよ。なんの勝負かは知らんが。というか、主人公が食らうイベントじゃなかったか?これ。
「我々が聞きたいのはクラスのグループラインで回ってきたこの写真についてだ」
「ごめん、何それ、聞いてない。もしかして俺、ハブられてる?流石に少し悲しいのだが……」
「今は此方のターンだ」
話は逸らせなかった。
「さて、この写真を見たまえ」
見ると、昨日の帰宅時の姿。つまり、薄野満月が、柳葉、白梅の二人と連れ立って帰ったことを示す写真が……
「盗撮だよな、これ」
「そんなことはどうでもいい」
「よくねぇよ、肖像権侵害だ、民事裁判だ警察呼んでこい」
「この場に置いて重要な事は、貴様がクラスの美少女二人と共に帰宅したという点だ」
スルーされた。微妙にボケたのに……
とはいえ、俺から言える事は特にないのだ。無能力者であるのは、少し調べればわかるし、そのうち露見することでもある。その時、あの二人に迷惑がかかる可能性が無きにしもあらずであるが故に、此方としても、口を割るわけにもいかない。まあ、黙って時間切れを狙おう。暇だし瞑想でもするか……
「どうしても口を開かないというのだな?」
「……………」
「いいだろう、ならば決闘だ。名取ーー」
「なんで僕なのさ?」
呼ばれてクラスのトップイケメンにして、原作主人公の親友枠こと名取 揚羽がやってきた。一応話は聞いていたらしい。
「だってお前も気になるだろう?」
「まあ、多少。でも、そこまでやって聞きたいわけじゃないんだけど……」
とまあ、名取は渋ったものの、結局押し切られた。どうにも、期待されると断れないタチらしい。
携帯端末の形をした、生徒手帳がピコンと鳴る。
文面は、「名取 揚羽から決闘の申し込みがありました。受理しますか? yes/no」
「此方にメリットあるか?これ」
「あ?受けねぇってぇのかよ?」
「そこの丸投げ屋うるさい。黙って便器でも舐めてろ」
「はぁ!?」
「まあ、此方としても厄介事持ち込まれて面倒くさいってのはあるけど……」
少し考えたのち、名取は言った。
「よし、じゃあ受けてくれたらこの話題はクラスで二度と出してはならないことにしよう」
「乗った」
yesの文字をタップ。
「おい待て勝手に……」
「じゃあ、演習場に移動しようか、時間もないしね?」
丸投げ屋が食い下がるのを無視して、名取はウィンク一発放ちつつ先導するように、歩き始めた。
ウィンクがあそこまで似合う男もなかなかいない。
まあ、どちらにしろ一つ借りができた。
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