第十二話 正直後始末が一番大変で苦痛
興味を持っていただきありがとうございます。
さて、今回のオチというか、事後処理について語ろう。
数刻後、警察が突入してきて俺らは保護された。面倒なことに、俺、燕、白梅の3人は主要人物として長々と話を聞かれ、情報の秘匿は取り付けたものの、帰る頃には日が暮れかけていた。
「疲れた……」
「そうね……」
「だね……」
3人揃って疲れた顔して帰路に着く。
「数名倒しただろうに尋問を免れてる名取が恨めしい……」
「そういうところは要領いいわよね、彼は」
ため息が揃った。そこにちょっとした幸せを感じるのは、気のせいだろうか。
「そう言えば、最後の障壁って満月?」
「ああ、出せると思ったら出せてたよ」
暫くは能力の利用法の研究だな。と彼は笑う。興味あることの研究ほど楽しいことはない。
「もうすぐ新人戦だしね」
白梅のその言葉を聞いて満月は思い出す。
「(そういえばそろそろ主人公様の登場か……)」
少し名残惜しい気もするが、早く変わって欲しいものだ。そう思いながら、薄野満月は夕焼けを眺め歩いた。
ちなみに結論から言うと、本編開始日時になっても、主人公こと種咲 実は現れなかった。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「君には苦労かけるね」
「いえいえ、まあ、眺めてる分には楽しいですよ?」
若い二人の男の声が、暮行く町に小さく溶ける。
「というか、いいんですか?」
「これが最善だからね」
「まあ、そういうことなら黙りますけど。というか、この電話の最中しか認識できないんですけどね?貴方のこと」
「まあ、私がそういう情報を読み込ませたからね」
「取り敢えず、経過は上々です。能力にも目覚め、必要な縁は結ばれ始めています」
「ならばよし。また会おう」
通話は切れた。
このやり取りはただ一人の記憶にしか残らない。
これにて第一章は閉幕。投稿も暫く途切れます。
それでは貴方の気が向いた時に、もう一度逢えることを祈らせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。




