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ごーれむ君の旅路  作者: れっさー
第1章 アラドンの街編
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第21話 再会 その1

(また助けてもらえた、のかな?)

 衝撃雷撃(ショック・ボルト)の衝撃から地面に倒されてしまったアレンカは、自分が何をしてしまったのか記憶を巻き戻していた。

 奴隷商人から逃げ出したが追手に追い付かれ、連れ戻されそうになったところを見知らぬ「巨人」に助けられた。「巨人」は一緒に逃げたイヌ耳族の少女、ミアを腕に抱えアレンカと一緒に街道まで出てくれた。街道で東からやってきた荷馬車をやり過ごそうと茂みに隠れたまでは良かったが、その荷馬車が自分たちを襲った奴隷商人の一味であったことでアレンカは頭に血が上り、思わず飛び出してしまった。

(私ったらなんてバカなことをしてしまったのだろう・・・)

 荷馬車の後ろから襲い掛かり、一人を斃し二人目を転ばせたまでは良かったが、馬車の先頭にいた三人目の男に攻撃魔法で吹き飛ばされ、危うくまた捕まるところだったのだ。相手は戦闘を生業としている探索者である。アレンカのような小娘が敵う相手ではなかったのだ。アレンカがこうして無事でいられるのは「巨人」が助けてくれたおかげである。

 屈強な男二人に剣を向けられ、攻撃魔法を受けた痛みと恐怖で身体が竦んでしまったアレンカは茂みから飛び出してきた「巨人」をただ見ているしかなかった。

 「巨人」が男に向けてその腕を伸ばし、拳の上側の袖口が開いたかと思えば、開いた口の奥に魔方陣が6角形の頂点で6つの円を描くのをアレンカは見た。

 その魔方陣から、たくさんの火の玉が男に向かって撃ちだされ、男は避ける間もなく上半身を焼き尽くされ、下半身だけの死体となった。

 もう一人の男も同じように下半身だけの死体にした後、アレンカが最初に切りつけた男を「巨人」は頭から火の玉を撃ち出し殺してしまった。

 「巨人」は何事もなかったかのように街道脇の森に入り、ミアを左腕に抱えアレンカの前に姿を現したのだった。

「アレンカお姉ちゃん!」

 屈んだ「巨人」の左腕から降りたミアが足を引きずりながらアレンカのところにやってくる。呆けて地面に座り込んだままのアレンカに抱き着くと、

「お姉ちゃん、大丈夫? どっか怪我していない?」

 と心配そうに顔を覗き込んでくる。

「・・・ええ、大丈夫よ。ちょっと擦りむいちゃったみたいだけど・・・」

 まだ呆けているアレンカが辛うじて答えていると、

「ミア!? その声はミアなの!? 返事して!」

 と、馬車の中から声が聞こえてきた。ミアとアレンカは互いに顔を見合わせると、二人そろって荷馬車の幌を見た。荷馬車には幌がかかっており、中の様子は窺えない。

「ミアちゃん、ココにいるのよ。」

「うん。」

 アレンカはミアに動かない様小声で伝えると立ち上がり、馬車の後ろからそっと幌の中を覗き込んだ。幌の中は真っ暗で、荷物が乱雑に積まれている様でよく見えなかったが、奥から何人か人の気配がした。

(あぁ、檻だわ・・・)

 荷馬車の奥にあったのは、捕まえた奴隷を閉じ込めておく檻だった。つい数時間前まで自分もその中にいたのだ。3畳程の大きさで荷馬車の前3分の2を占めている。鉄製の棒でできており、左側には1メートル四方の扉がつけられている。その檻の中に何人か捕まったままとなっているようだ。

「そこにいるのは誰? 私、アレンカよ!」

 アレンカが檻に向かって叫ぶと、檻の中から答えが返ってきた。

「アレンカなの? 私よ、カリナよ! ステラもいるわ!」

「アレンカさん? 一体何がどうなっているの?」

 檻の中からアレンカに向けて次々と声がかけられる。どうやら奴隷商人に一緒に捕まった人たちが檻に閉じ込められているようだ。

「ちょっと待って! 今そっちに行くわ!」

 そう怒鳴り返して、アレンカは荷馬車に乗り込んでいく。檻の中には4,5人が捕まっているようだった。荷台に入り口に立ち、出入り口の幌を広げる。外の光が差し込んできて、薄暗かった荷馬車の中を明るく照らしていく。

 明るくなった荷馬車の檻には、5人の女性が捕まっていた。アレンカの知っている顔もあれば、知らない顔もあった。今までは別の馬車に乗せられていたのだろう。

 荷馬車の中は雑多な品物であふれていて、後ろの入り口から見ると檻は荷台の奥を占めていいた。足の踏み場もないほど詰め込まれた荷物をまたぎながら檻の前まで来たアレンカは、檻を開けようとしてみた。しかし、檻には鍵がかかっており、鍵がどこにあるのはわからなかった。更に外開きの檻の扉の前にはたくさんの荷物があってたとえ鍵があっても扉が空きそうになかった。

「アレンカ、あなたどうしてここにいるの?外はどうなっているの? さっきの轟音は何なの?」

 アレンカと同じウサ耳族のカリナが矢継ぎ早に聞いてくるが、混乱しているアレンカも満足に説明できないでいる。

「色々あったのよ。とにかく、(ココ)から出ないと・・・。ちょっと待ってて!」

 アレンカは檻の中の連中にそう伝え、荷馬車の外に出るのだった。


(つづく)

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