第3話
あれだけ意気込んでいた僕は、次の日もコートに行こうと思っていた。
だが、母にどうでもいい用事を頼まれたり、三井くんと一緒に帰ることになったりと1日1日と行かないうちに、もうなんだかんだで部活入部可能日になった。
「和也、どっか部活入るの?」
「うん、一応テニス部に入ろうと思うんだけど」
「テニス部!?なんで?あ、あれか、マンガとかの影響か?」
「マンガじゃないけど、ちょっと影響受けてな。」
「ふーん、じゃあ俺もテニス部にしようかな。」
「まじで!いいのかよ、そんなので決めて。」
「まあ、俺ずっとテニス習ってたしな」
「ほんとに!!すげ〜。」
「まあ、部活はどうかな〜って思ってたけど、和也が入るならと思ってね。」
意外だった。テニスというスポーツには勝手に自我の強い人がしているものだと思っていた。これもマンガの影響なんだろうか。三井はどちらかというと、落ち着いているし、スポーツができるような感じには悪いが見えなかった。まあ、でも友達が入ってくれたら心強いし、より高校生活が楽しくなりそうだ。
「じゃ〜一緒に入ろう!」
「うん、放課後一緒に行こうな、2年2組の教室だよな。あ、授業始まるわ。」
放課後になって、二人でそわそわしながら、テニス部集合の教室に行った。
「失礼します。」
「あ、いらっしゃい。お、あの時以来だね。あれから来なかったから入部しないのかと思ったよ。名前は、えっと〜。」
「あ、大谷です。大谷和也です。で、同じクラスの三井陸くんです。」
「三井陸です。お願いします。」
「大谷くんと三井くんだね。三井くんテニスの経験は?」
「俺は小1から中2までテニスのスクールに通ってました。」
「きたね、経験者!楽しみにしてるよ。大谷くんも頑張ろうね。」
「みなさんすごいからついていけるか心配です。」
「じゃ〜いいこと教えてあげるよ、大谷くんをコートにつれてきた水野部長は、初心者スタートだったんだよ。」
「え〜!!!!」
「どんだけ彼の練習に付き合ったか。そしたらいつの間にか経験者の俺より強くなりやがったよ。だから初心者でも頑張れば部長みたいになれるんだよ。三井くんもがんばらないと、いつの間にか大谷くんに抜かれちょうよ」
「失礼します」
色々話をしていると、また一人また一人と入部希望者が入ってきた。集合時間になって、説明が始まるって時には、10人くらいになっていた。
説明が始まり、1年間のスケジュール、合宿について、1日の練習、決まりごと等を1時間くらいかけて話した。そしてそれを聞いた上で、入部するかどうかを帰るときに記入していくのだが、そこでは最後に自分たちが書いたのだが合わせて7人くらいまでに減っていた。
今日は水野部長は姿を見せず、ちょっと残念だった。残念だった?うん、残念だった。
入部用紙を出して、三井と駅に向かった。
「大谷、水野部長だっけ?そんなに強いの?」
「すっごいよ!めっちゃやさしいし、サーブしかちゃんと見てないけど、背筋がぞくってしたよ。部長に会ったらわかるよ。でもあの人が初心者スタートだなんて、尊敬するな。」
「ふ〜ん。」
「どしたの?」
「いや、なんでもないよ。大谷、ラケットないんだろ?俺のやるよ。」
「ほんとに!いいの?」
「いいよ、ちょっと古いけど。」
「ありがとう!テニス教えてくれよ。」
「任せとき!」
自分はほんとに頼もしい友達を持ったと共に、これから頑張ろうと気合いを入れた。