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小説家になろうでの初投稿作品です。完全に趣味で書いているので、投稿も不定期になると思います。もしも読んでくださる方がいるのなら、気長に待って下さい。
突然だがここ、イラの国には冒険者ギルドというものがある。
未知のダンジョンを探索したり、街で小さなお使いをしたり、モンスターと戦うような者、冒険者が集まるあれだ。
今日は半年に1度だけある、新規冒険者登録の日。
そんな日に、冒険者両親が二流冒険者で幼い頃から冒険者を目指していた俺はといえば……
「遅刻だー‼︎」
大通りを走っていた。全速力で。周りもろくに見ずに走っていれば、曲がり角で人とぶつかるというのは当然のことで、
「きゃっ」
向こうから走ってきた少女とぶつかってしまうという、お約束とも言える展開となってしまった。
「すいません! 俺、急いでるので!」
本当ならしっかりと謝りたいところだが、今日だけは仕方がない。
何せ今日を逃せば次のチャンスは半年後なのだ。
「……」
少女は何とも言えない目でこちらを見ていて心が痛むが、事情が事情なので何も無かったと自分に言い聞かせてその場を離れた。
結果、少女を無視して走ったのは正解だったようで、締め切りギリギリにギルド前に着くことが出来た。
「すみませーん。冒険者登録に来たんですけど」
扉を開けた俺を待っていたのはガラの悪い先輩冒険者たちの恐ろしい視線ではなく、今しがた登録を終えたばかりの冒険者の集団だった。
「おっ、君も新規登録者? それなら急いだ方がいい。向こうのカウンターで出来るから」
赤髪の優しそうな青年に礼を言ってカウンターに駆け寄った。
「冒険者登録にいらした方ですね? 新規登録の補佐を担当するルアリと申します。まずはお名前と年齢をお願いします」
「俺の名前はトーヤ。16歳です」
「トーヤさんですね? ではトーヤさん。あなたのステータスを確認します。こちらの水晶に手をかざしてください。」
「これは?」
「これはsc水晶と言って手をかざした人の能力を数値化することが出来るんです。能力は体力、魔力、攻撃力、防御力、俊敏力の5つと様々な経験によって上がっていくレベルがあり、レベルが上がっていくにつれて5つの能力値も上がっていきます。」
なるほど。両親からレベルや能力値が判ることは聞いていたが、まさかこんな手の平大の水晶で判るとは。
「こうですか?」
そう聞きながら水晶に軽く手をかざすと、水晶は青白く光出した。