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十 .2

 







「また貴女の悪いクセか出たようですね、シスターミハエル。アルコールの摂取が悪いとは言いませんが、"節度ある飲酒を心得よ''、と主もおっしゃております」


 190cmほどあるだろう痩躯の黒髪。銀縁の丸眼鏡に開いてるのか閉じてるのか分からない糸目に人の良さそうな笑顔の神父服の男性が酒瓶を持ったシスターの少女に説法する。


「……労働の後の一杯の飲酒は神様も認めてくれてるじゃねーか。これはその正当な対価をありがた〜く頂戴してるんだよ」


 そう言ってシスターの少女は酒瓶を咥えるが、チュポンと咥えた酒瓶を長身の神父が取り上げた。


「駄目ですよ、シスターミハエル。適度な飲酒は精神と生活に潤いをもたらしますが、過度な摂取は自己の否定と他者との不和を招きます。"主曰く、日々の糧に一杯のぶどう酒といくつかのパンがあれば、心満たされる"と」


 神父は終始、にこやかな笑みを浮かべているが、眼鏡の奥に威圧感を感じるの何故か。


「……アリガタイ御言葉、大変ウレシク御教示ウケタマワリマシタ神父サマ」


 神父の威圧感にシスターの少女は不満そうに、嫌そうにジト目で答えると神父から酒瓶を取り返し蓋を閉めて名残惜しそうに懐に仕舞い込んだ。


「……で、そっちはどうなったんよ神父様。きっちり仕事はこなしてきたんだろうな?」


「ええ、もちろん。私は常に仕事は誠心誠意全うしてますよ。そのおかげで彼らの活動区域が判りました。これもみな全て我が主の導きによるものでしょう」


「〜んじゃ、ヤツラの拠点にサッサっと行ってサクッと仕事してくるか。で、場所はどこなん?」


 シスターの少女が自分の修道服のベールを被り、服装を整える。


 神父は月明かりで鈍く反射する丸眼鏡を指でスッと押し上げた。






「"血と抱擁の都"サンテルヴェルデ城塞都市です」
























 人を襲い、その生き血を啜るモノ。


 それらは古来から様々な忌み名で呼称され『吸血鬼(ヴァンパイア)』として人々に恐れられてきた。


 吸血鬼はその勢力を拡大し、人間の生息圏を脅かし、永き時を支配してきた。


 しかし、それを良しとせず吸血鬼に反する一部の人間たちがいた。


 彼らは昏き闇の中、今日も闘い続ける。







 自らの命を賭し、自由を得るその日まで――――









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