落とした殻を紡いだ糸で亡骸を編む
ぼくは生み落とされると同時に殻に包まれた。
あるいはそれ以前から壊すべき殻の中に閉じ込められていた。
それは世界からぼくを隔離した。
だからというわけではないと思うけれど、ぼくは世界を知らなかった。
殻の中でめをつむって怠惰にその時を待った。
ふいに崩れた隙間から、こころは憧れと出ていった。
こころ亡き殻の中身はあまりの軽さで傾いだけれど。
ぼくはまだここでやらないといけないことがあった。
世界は案外綺麗じゃないことを知ってしまって
こころの帰る場所を作るために殻の欠片で紡いだ糸を編む。
ふと浮かんだよくわからない言葉。それを残しておかなければいけないような気がした。