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森の子  作者: 鷹口 投舞
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プロローグ

「はぁ、はぁ、はぁ……、なんとかここまで来れたか。」

思わず、一言溢れてしまった。

ようやく、目的地である場所まで来ることができた。が、相変わらず追っ手を引き離せてはいないようだ。


何故こんなことになっているのか、思い返すと頭を抱えてしまう………。


「ちょっとノア!頼み聞いてくれない?」


俺は隣に住んでいる幼馴染のオリヴィアに、こう話しかけられた。毎度毎度、コイツは俺に厄介事を持ってくる。


「またかよ、今日はなんなんだよ!」


「実はさ、お母さんに森の中に生えてるキノコとってきてほしいって頼まれたんだけど、友達と遊ぶ約束があってさ。お願い!私の代わりに採ってきて!」


「おいおい、それくらい自分で行けよ」


思わず苦笑いしてしまった。オリヴィアが言っているキノコは嗜好品のようなものだ。俺が住んでいるこの集落ではとても人気がある。そして、森の中に少し入ればわんさか生えているから、取り放題だ。だが、森が遠いのが唯一のネックでもあった。親が子供に頼むおつかいの定番である。


ここで少し、俺たちの生活を紹介しよう。俺たちは狩猟民族だ。男は15歳、女は14歳になる年に大人の儀をする。男は特に、そこでの試練をクリアすることで晴れて大人として認められる。ちなみに俺とオリヴィアは14歳で、オリヴィアは一応大人だ。男の試練は、どのような職業に就きたいかで変わってくる。

1つ目は、道具作りをしたい者に与えられる試練。道具作りは、狩猟道具や生活用品を作るという、殆どの女と一部の人とあまり関わりたくない男がやる仕事だ。この時の試練は、自身の得意な物を作って、既に道具を作っている大人にスカウトされれば合格となる。

2つ目は、狩猟管理をしたい者に与えられる試練。狩猟管理は、種の保存を目的に狩り過ぎの防止や間引き量を調節する仕事だ。狩人達の仕事を斡旋するし、素行の悪い狩人に罰を与えるのも彼らだ。所謂ギルドのようなものだね。この時の試練はいわゆる算術の試験である。合格点に届けばOKとなる。

そして3つ目は、狩りをしたい者に与えられる試練。なんといっても人気で、かつ、重要な仕事である。この時の試練は、何か獲物を狩ってくるか採ってくること。大物だったり、狩るのが難しければ難しいほど、将来有望として、自由に狩りができる!だから、俺は来年の試練のために訓練しているんだ!ただし、制限されている獲物を狩ったりすると狩人になれないし、普段の素行が悪い奴も狩人にはなれない。


これら3つの試練に失敗した人たちは、土地の開墾や農業をすることになる。


さて、話を戻そう。


オリヴィアは頬を膨らましながら言った。

「いいじゃん!いつも私が作ってる矢タダであげてるでしょ!win-winの関係よ!」


「いや、狩った獲物分けてあげたりしてるじゃんか、まぁ、キノコ採りに行くけどよ。」


「え、まじ?!ラッキー!さすがノアだわー」


なんだか、言い方に腹が立たなくもないが、オリヴィアの成人祝いに何があげようと思っていたし、丁度良いだろう。


そんな感じで、森に向けて出発した。


いつもはなんともない森で、あんなことが起こるとは夢にも思っていなかった。ホントに、マジで………







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