表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おジョーと僕  作者: 金木犀
7/8

水無月7

「暑くても、寒くても、とりあえず眠いなぁ…」


 時刻は朝6時。地方都市とは名ばかりの田舎に住む僕が都心部に出勤するにはギリギリの時間。

 寝起きが悪いというよりは、朝に起きるのが苦手な僕は、放っておいて貰えるなら大体何時に寝付いても14時まではぐっすり夢の住人でいられる。


 唯一のルーチンであるおジョーへの挨拶を済ませてスーツに着替える。最近は暑くて上着を羽織るかいつも悩むけれど、満員を抜けた後の冷房MAXの電車は案外辛いので結局ずっとお世話になりそうだ。


 今日は気分的にテレビを付ける。基本的にはニュースしか見ないけど、最近のニュースはバラエティー重視であんまり好きじゃない。

 案の定、すぐによくわからない流行りものを説明するコーナーが始まって音量を思い切り下げる。夜半の10分間のニュース番組の方がマシかもしれない情報量と全国放送の時間なのに正しくない日本語を連発するアナウンサーにため息を吐いて、偶然用意してた林檎ジュースを飲み下す。

 辛うじて15秒程の天気予報だけ確認したら、家を出る。


 閑散、満員、閑散を繰り返して職場の最寄り駅に到着。空は予報通りの晴れだけど、昨日までのじめじめした空気ではなくて少しだけ機嫌が浮上する。


 なんにも面倒なことなく、1日が終わるといいな。


 気紛れにそんなことを考えて、職場のビルに入る。何時もは出勤の遅いフロア担当が早く来たのか、解除を待たされずにデスクにたどり着いた。


 僕のデスクは通路の端で、印刷機の横にある。印刷の周囲は机で一杯いっぱいの狭いフロアの中では珍しく5、6人が集まれるくらいのスペースになっているせいか、よく話好きのお偉いさんやら女の子達が立ち話しているんだけど…


「…誰だよ、コレ…」


 そんな、立ち話をしていた誰かの忘れ物だろう。口の空いた缶コーヒーが中途半端に残って僕のデスクの、印刷機側ギリギリの所に置いてあった。


 そんなことが一番の事件だったのだから、今日も平和な1日だったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ