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おジョーと僕  作者: 金木犀
6/8

水無月6

 やはり、今日も蒸し暑い。

 べったりと肌に纏わり付くぬるくて密度の高い空気が、僕の気力やら体力やらという活動するために必要なものを吸いとっていく。


「おジョー、助けて…」


 最愛のおジョーに触れるが、何時ものように抱き締めることは出来ない。

 袖で覆われていない腕から直に汗を吸収させてしまうのも良くないが、汗を存分に吸った後の寝間着からの匂い移りも侮れない。直ぐに干すことの出来る時期ならば誘惑に負けても良いけれど、今日も窓の外はしとしとと雨が降り続いている。


 暑くて、呼吸が苦しくて。ぼーっとし始めた思考で、水について考える。

 水は地球を、形を変えながらゆっくりと何度も廻っている。僕の汗も、窓に張り付く雨粒も、渇きを癒す湧水も、全て巡り巡る水の一つなんだろう。

 そう思うと、やっぱり不思議だ。


 ぼんやりとしと視界の真ん中に映るおジョーを今度は躊躇わずに抱き締める。

 水の音が、僕の鼓膜を延々と震わせる。

 ふらり、ふわりと僕の身体も揺れている気がする。


 水の中を揺蕩うような感触が心地好くて、いつの間にか眠っていたみたいだ。部屋は常夜灯もついていなくて真っ暗になっていた。

 おジョーから僅かに肌が離れた時、繊維が微かな抵抗感をもって僕に抗議してきたようだ。


「んー……とりあえず、お風呂入ろうか。」


 スマートフォンで現在時刻と明日の天気を確認してから、おジョーを抱いて風呂場に向かう。


 予報が変わらなければ、明日はカラリとした夏日になるらしい。

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