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おジョーと僕  作者: 金木犀
2/8

水無月2

「お布団…干してくれば良かったな。」


 梅雨の合間の晴れの日に、空を見上げて思わず呟く。

 おジョーに声を掛ける癖のせいか、独り言が増えてしまったのが最近の悩みだ。


 未だに慣れないスーツの襟を正して職場に向かう。楽しそうにしてたり、いきいきとしている人は少ない朝の交差点はあんまり好きじゃない。

 つられて僕まで気分が沈まないように、真っ直ぐ前を向いて歩こう。

 スーツは慣れないし、スニーカー以外の靴じゃあまだまだ難いけれど。このカツンと心地好く鳴る足音は割と好きだ。


「あ…おジョーのフライだ。」


 飲み物を買いに入ったスーパーの入り口にあるトイカプセルの前でまた独り言。声に出してしまったことに気付かないまま、硬貨を入れてツマミを捻った。


ガチャガチャ…ゴトッ


 朝っぱらから何をやってるんだろうって自分でも思うけど。取り出し口からカプセルを抜き出して、中身を確認しないまま鞄の中へ。


「おジョーが当たってたら良いなー」


 欠伸を咬み殺して歩く人を追い越して、職場の自動ドアを潜る。

 始業には余裕のある時間に着席すると先程のトイカプセルをいそいそと開け始めた。


 鮫を揚げ物にしたシュールなそのシリーズは僕の行動範囲では滅多に見付からないトイカプセルで、以前見付けた時はジンベイくんが当たったのだけど従姉にあげてしまったのだ。

 ホオジロサメが当たるのを祈って包みを解く。


 小柄で目元の形が実に特徴的なフライが出てきた。

 

「シュモクさんですか……」


 所謂「物欲センサー」でも働いてるんですかね?

 シュモクさんじゃあ頑張っても指先くらいしか食べてもらえんよ。

 いや、フライだから僕が食べるのかな?

 ……玩具は食べないけどねっ


 結局、僕は少ししょんぼりとしながら仕事を始めることになった。

 帰りにはおジョーが当たりますように。

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