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自己嫌悪
「ただいま」
真っ暗な玄関に投げ掛ける。
どれだけ気分が沈んでいても、染み付いた習慣は出てしまうものらしい。
おかえり、と返ってくることはなかったが、代わりに犬が寝ぼけ眼で降りてきた。
とん、とん、とん、と一段ずつ降りてくる様は、さながら老犬だった。
靴を脱ぎ、誰もいないリビングのソファに沈み込む。
色々、嫌なことを思い出してしまった。
『私』という仮面を被ることで全てを忘れようとしていたのだろうか。
関の事を聞いて回ったのは、彼への贖罪にでもなると思ったのだろうか。
馬鹿馬鹿しい、と一蹴してしまいたい所だが、私の醜悪さも同時に思い出したばかりだ。
心底、自分が嫌になる。




