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親友
殺した、と言うと語弊があるのかもしれない。
一般的には、自殺幇助、とでも言うのだろうか。
いや、幇助と言えるほどのこともしていないのだ。
だけれども、彼を見殺しにしたことに変わりはなかった。
彼が人生に飽きないよう、面白いと思った本や漫画を勧めた。
彼が寂しくならないよう、毎日のように押し掛けて遊んだ。
彼が退屈にならないよう、私の失恋譚を語ったりもした。
でも、最後には自死を選んだ。
頑なに自殺願望を捨てない彼に、私は諦めてしまったのだ。
最後の会話はインターホン越しだった。
私は「何もしてやれなくてごめん」とだけ。
彼は「いや、こんな僕に付き合ってくれてありがとう」とだけ。




