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「公私」の「私」と『私』
私は、そのまま家に帰る気にもならず、かと言って行く宛があるわけでもなく、ただ無為に足を動かしていた。
雨でも降ってくれれば惨めな自分に浸れようものを、今日は生憎の晴れ空だった。
太陽はとうの昔に沈んでしまっているので、頭上には青白い月が、周囲の星を掻き消さんとばかりに輝いている。
結局、関の事は聞きそびれてしまった。
どのみち、あんな事がなくとも聞けずじまいであったろうが。
「何やってんだろうな…」
口に出してしまってから後悔する。
何もかもが寒々しく感じる。
いつまで自意識過剰な中学生のままで居るのか、と誰かに指摘されている気分だ。
『私』だなんて気取って言っているつもりはない。
これは私なりのけじめのつもりで始めたことだった。
あの日、「公私」の「私」である『俺』は死んだのだと。
気が付けばいつの間にか、自宅の前まで辿り着いていた。
大学を辞めて戻ってきて以来、私にはこの場所が自分の居場所にはどうしても思えなかった。
親友を殺してしまった私に、暖かい居場所などあって良いのか。
何をしていてもそんな考えが過ってしまうのだ。




