ステータスと能力とギフト
緊急速報です!友人、『春澤ハルゥ』のやる気が10%になりました!大変です!ですが私は続けたい!というわけで、若干ハルゥからの意見もあるけど、九割九分九厘は作者という状態で書いていこうと思います。1人になって不安が……
鏡を仕舞ったゼルテスは、再びクラリスへと向き直る。
「さて、今度は能力を確かめようか。青半透明のプレートが出てくるのをイメージしながら、《ステータスオープン》と言ってみて。」
「うん。《ステータスオープン》」
『ステータス』という単語は分かる。クラリスが美春だった頃、多少はライトノベルを読んでいたからだ。『オープン』ということは、『公開』ということだろう。おそらく、ゼルテスにも見えるようになるはずだ。
《ステータスオープン》と言うと、クラリスの前に青半透明のプレートが出てきた。これが『ステータスプレート』だろう。文字もたくさん書いてある。
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《ステータス》
〈レベル〉1
〈名前〉クラリス
〈年齢〉17
〈種族〉神族
〈状態〉魂体(器有)
〈職業〉神王女、全能神、他
〈称号〉天才美少女、愛されし者、神王の最愛の娘、前世を捨てた者、他
〈体力〉Error
〈魔力〉Error
〈魅力〉Error
〈運力〉Error
〈スキル〉
全属性魔法Lv.1、体術Lv.MAX、剣術Lv.MAX、全耐性Lv.MAX、他
〈加護〉
神王の寵愛、八百万の神々の忠誠、他
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「すごいね。ギフトをどうしようかな?」
ゼルテスが覗き込む。それを見て驚きの顔を見せた後、考え込むようにつぶやいた。
「ギフト?」
ゼルテス「転生の前に神が転生者にあげる能力のことだよ。クラリスに分かりやすいようにいうと、『特典』かな?後は、ものによっては『チート』とかね。」
ゼルテスはにこやかに笑いながら、クラリスの問いに答える。
私は自分のステータスを見ても、よく分からなかった。きっと高いのであろうが、比較対象がなければ断定できない。
クラリスのステータスは初期にも関わらず、ゼルテスを越すものとなっている。もちろん、クラリスはそれを知らない。よって、自身のステータスの良し悪しがよく分からないのだ。本来であれば、良すぎるにもほどがあるステータスである。
「うーん、よし!決めたよ。クラリスへのギフトは、《超越学習》と《超越創造》にするよ。どうかな?」
しばらく考え込んでいたゼルテスがいきなり声を上げるので、クラリスも少しばかり驚いた。どうやらギフトの事を考えていたようで、やっと決まったようだ。
「どんなもの?」
「うん。《超越学習》は全てにおいての学習速度や容量等が超越級に上がるものだよ。
《超越創造》は創ろうと思ったもの全てを何の代償も無しに創れるものだね。どうかな?」
ゼルテスが目を輝かせている中、クラリスは何とも言えぬ呆れを感じていた。もうチートやらなんやらを通り越し、未知の領域にまで至っている。
この時クラリスは悟ったのだった。「お父さんはとんでもない親バカで、常識知らずなんだな」と。そして、もう諦めたクラリスは開き直った。
「うん。ありがとう、それでいいよ。」
「良かったぁ。嫌って言われたらどうしようかと思ったよ。」
「お父さんが考えてくれたんだよ?言うわけない!」
ほっと胸をなでおろすゼルテスと、今までよりも父が好きになったクラリス。クラリスの言葉を聞いたゼルテスが心の中で踊り出したのは、仕方の無いことである。
「ああ、そうだ。クラリス、君の魂について話しておかないと。」
「どういう事?」
ほわほわした雰囲気の中で、ゼルテスが思い出したようにつぶやいて真面目な顔つきに戻った。それを見たクラリスも、真面目な顔つきになる。
「まず、君が美春だった頃。異常な才能を持っていたよね?」
「うん。自分で言うのも何だけどね。」
ゼルテスの問いに、クラリスが苦笑混じりに答える。
「それは、魂の問題なんだよ。
どんな魂にも生まれた時に決まった格がある。大抵は質や規模で決まるね。
その格は、今まで僕が最高だったんだ。格としては、『魂級:神王級』だね。これの下の格との差は計り知れないほどに遠いんだ。だけど、君の魂は僕を超えた。
生まれた魂は神族により管理、格付けなどがされるんだ。その時に計測不能が出てきて僕が呼ばれた。僕なら出来るからね。僕も初めは目を疑ったよ。僕を超えるんだよ?でも、ちゃんと受け止めた。そして、2度とそんな事の無いようにした。」
ゼルテスはそこで一度切り、クラリスを見る。ついてこれているか確かめるためだ。クラリスは問題なくついてきていた。
「さて、魂は生まれさせなければならない。
だけど、君の魂『魂級:超越級』は全てにおいて異常なまでの才を持つ。日本で言う『剣と魔法の世界』なんかに生まれさせれば、その世界を壊しかねない。だから、とても特殊な世界である『アースラスト』に生まれさせたんだ。
そこで君は加藤美春となり、その才能と戦いながらも生きた。僕はそれを見守り続けた。でもね、君は死んでしまった。
さすがに魂級に人間の身体が合っていなくて、交通事故程度で死んでしまったんだよ。その時に僕は思った。『今まで見守り続けてきた愛しき者を僕の子に転生させよう』とね。そして、こうなった。」
ゼルテスが話を終え、クラリスを見つめる。何かしらは言われる覚悟である。しかしクラリスの反応は、ゼルテスの予想外であった。
「そうだったんだ。でも、納得がいったなー。」
「え、あ、うん。……ああ、それと補足説明。今の君の身体は魂級に合うようにしたよ。
それと、君へのギフトは僕や君くらいの魂級でないと魂が受け止められないんだよ。チートを超えてるね!」
ゼルテスはすぐに思考を戻して、補足説明をした。クラリスは最後の一言にダメージを受けていた。「またも普通ではなくなるのか」と。
だが、逆にそれを個性と受け取ることにした。そしてこう決意した。「どうせ異常なんだし、この際とことん異常を極めてみせる!隠すことはやめて、普通に過ごして異常と思われたらそれでいい。異常を極めてみせる!」と。
「ふう。説明も終わったし、ギフトをあげよう。」
「うん。」
クラリスがゼルテスの前に立つ。
するとゼルテスは何かを呟き出す。ゼルテスはゆっくりと手のひらを上に向けて、両手を前に出し目を閉じてゆく。
その手のひらの上に白く発光する美しい球体が浮かんでゆく。徐々に上へ上がり大きくなり、強く輝いてゆく。
やがてゼルテスの呟きが終わると、球体が形を崩して線状になりゼルテスの元を離れる。向かったのはクラリスの元で、その身体に突き刺さる。それは貫通することなくクラリスの身中へ溶けて馴染んでゆく。
暖かく力強い、何とも言えない感覚がクラリスを襲う。しばらくしてその感覚もなくなり、馴染みきったようだ。
「お父さん。何か変な感じがしたけど、別に大丈夫?」
「問題ないよ。それだけというのも、僕と君だけだね。ははは。」
やはり、魂級に合うように身体が創ってあるようだ。そうでないと抵抗があり、もっと辛かったのは容易に想像できる。
「よし、クラリス。君には修行をしてもらおう!そして、その力になれてくれ。」
「うん、もちろん。こうなったら、とことん異常を極めます!」
ゼルテスがグッと右拳を握って言えば、クラリスは両拳を可愛らしく握っていう。しかしその内容は物騒である。
「ああ、応援しているよ!頑張ってね!」
「うん、頑張る。」
……この親子には『常識』を知っていただきたい。いや、クラリスには若干ではあるが常識がある。若干だが。しかし、ぶっ飛び過ぎであろう。誰かこの親子に一言言ってはくれぬものか。まあ、それは置いておこう。
そしてクラリスは修行をすることになった。
『魂級』は、『こんきゅう』と読みます。