金の力は強い。
更新が遅くなり申し訳ないです。
キャラクター登場。
ヒロインは当分出てきません。
ーーームシッ
ーーームシッ
ーーームシッ
今、俺は草をむしっている。
といっても、薬草なわけなんだが。
どうしてこうなったかというと、この薬草が結構いい値で売れるのだ。
普通の草との判別が難しいうえに鑑定を持っている人が少ないからと町のおばちゃんに聞いた。
その他にも、魔物の心臓辺りにある魔石なるものがあるときいた。
どんどん、強くなるにつれ魔石の大きさや美しさが変わる。
……どこの世界でも、おばちゃんの情報網は凄いな。
で、何故手っ取り早く魔物を倒さないのかというと、
魔物の胸の辺りをえぐってから魔石を取らなくてはならないらしい。
それ、なんて罰ゲームだよと言いたい……。
別に、グロいのが嫌な訳ではないのだ。
敵と戦うのもしないといけないのもわかってるし、しかし流石に胸をえぐるのはちょっとまだ遠慮したい。そういう訳なのだ。
だが、そんな事言ってられない。
金がなければ生きていけないからな。
魔物に遭遇したらするしかない。
申し訳ないが。
ーーーガサガサガサ‥‥
!!?
『ッ助けて!! 人間に襲われてッ!お兄さん、助けて!!』
なんだ、この小さい奴は……
頭に角が生えて、しっぽもあるな。
悪魔かなにかの子供か……?
魔族は見つかったら処刑じゃなかったか?
まあ、とりあえず人間達には
「暗黒魔法【忘却】」
忘れてもらうか。今日あったこと全てを。
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ーーーーーーーー
あの後、速攻で人間に手刀を落とし気絶させて、今この魔族の子供と逃げてる所だ。
『あ、あの……ありがとうございました。魔族のお兄さん。』
「は? 魔族? 俺が?」
そういえば、こいつ人間に追われてるくせに人間の俺に助けを求めたよな。
普通だったら絶望してもいいところなのに。
『?見た目は人間だけど、雰囲気っていうか……オーラっていうかが完全に魔族だし。そうでしょう?お兄さん。』
……どうやら、魔族には雰囲気で同族に見えるらしい。
おそらく、加護のせいだろう。
『お兄さん、お名前なんていうの?僕はグレイっていうんだっ!』
鑑定。
【名前】グレイ 【種族】魔族 【年齢】14歳 レベル1
【称号】不幸 【スキル】なし
【属性】なし 【HP】23/23 【MP】45/45
よし、嘘は言ってないな……。
まあ、もうこいつと会うこともないだろうし関係ない。
「じゃあな、俺はもう行く。お前には悪いがやることがあるのでな。」
もちろん嘘だ。
やることもないし、用事もない。
……薄情? それがどうした。
こいつは魔族だし、ただでさえ面倒な加護がある俺だ。
それなのに、こいつまで面倒みろと?
悪いがそこまで責任もてない。
『ッ待って! 僕……誰も家族が居なくて、その、だからお兄さんについてったらだめかな?』
このガキはなにを言っているんだろう……。
「……用事があると言ってるだろうが。言葉ちゃんと分かるか?」
『大丈夫、迷惑かけないから!』
いや、もうすでにそれが迷惑なんだが。
「話にならない。じゃあな、さらばだ。」
『まっ、待ってお兄さん! ……じゃ、じゃあこれを渡すから。』
? なんだこれは?
緑色をした美しい宝石のネックレスがそこにあった。
鑑定。
【晶緑花のネックレス】
エルフの住む森、それもとてつもなく美しく綺麗な森にしか咲かない花 晶緑花のネックレス。
とても希少なもので、売ると大金になる。
との事だ。
「……お前さ、それ見せて無理矢理奪われたらどうするつもりだったの。」
『あっ!……お兄さんはそんな事しないよね?』
まったく、考えてなかったらしい。
「はあ、俺は流石にしないがこんなこと考える奴もいるということを頭にいれておけ。」
……金には勝てないな。
『えっと、あの……。』
「交渉成立だ。ついて来い。」
グレイ君、大変な人生を送ってます。