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逃げられない


「私の可愛い妹。何があってもあなたは私が守るから」



 姉は悲しそうにそう言っていた。





 飛び起きた。


 全力疾走した時のように浅い息の中、辺りを見渡す。ここは……そうだ私の部屋だ。窓からは目覚めの時を知らせるように暖かい色の日差しが差し込んでいる。朝だ。

 未だ浅い息を整えながら思い出す。『アレ』ははたして夢だったのだろうか。コンビニへアイスを買い行ったら出会った恐怖の悪夢。思い出しただけでも整いかけた息が浅くなりそうだ。

 いい。もういいんだ。『アレ』はただの怖い夢だったのだ。起きるにはまだ早い時間だけれど、二度寝する気にはなれない。おとなしく起きてしまおうとベットから降りたところで気がついてしまった。


 私、昨日寝間着に着替えたっけ。


 いや、寝間着以前にベットに横になった覚えが無い。だって昨日は勉強机で情報の整理をしていたのだから。それにそれまで着ていたのは普通の部屋着だ。寝間着ではなかった。


 昨日の夜、寝間着に着替えた記憶も、ベットに横になった記憶も無い。


 背筋がスッと冷えていく気がした。

 恐る恐る勉強机をのぞいてみると、どうやら昨日書いていた内容はそのまま残っていたようで安心する。ほっとして目線をずらすと、机に何やら文字が書いてあるようだ。



『YOU MUST ESCAPE』



 私の字では無い。急いでいたのか、乱雑に書かれたそれに見覚えも無ければ書いた覚えも無い。


『あなたは逃げなくてはいけない』


 何から逃げる。なぜ逃げなくてはいけない。剣稲荷の噂。不可解な夢。不可解な現象。身に覚えの無い文字。姉について調べれば調べるほど何かがおかしくなってくる。



『逃げななくてはいけない』



 どこに逃げろって言うの。ねえ姉さん、どこにいるの。





I MUST WRITE

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