始まり
運命はいつだって残酷だ。いつだって私に残酷な物語を届けてくる。
-二年前-
「結雅!行くな!お前一人だけじゃ危険だ!!」
「悪いな結、俺は行くぜ。もうあいつらを許しておけねぇんだよ。」
「だからってお前一人で行くな!あいつらが来るまで待ってろ!」
私は敵の溜まり場に突っ込んでいこうとする双子の兄、結雅に向かって叫んでいた。
「俺はあいつらを傷つけたくねぇんだよ!!だから止めんな!!」
「おい待て、結雅!!」
結雅は私の言葉を無視して突っ込んでいった。
「くそっ!!もしもし冷か?あとどのくらいで着く?」
『今バイクで飛ばしてきてる!!すぐに着くからあの馬鹿引き留めておけよ!』
「あの馬鹿もう突っ込んでいきやがったんだよ。」
『本当にあいつ馬鹿だな!?』
「とりあえず私もばれないように入っていくから早く来いよ。」
私は電話を切った。
私が総長をやっている族『神楽』。
今神楽と敵対している『死鬼』は最近、神楽のメンバーを次々に闇討ちに遭わせていた。
そのため最近色々と死鬼について調査していたがいまいち何も分からなかったから直接溜まり場に行った方が良いと提案があったから今死鬼の溜まり場に来ていた。
そして、死鬼の連中に仲間の一部が来ていることがばれてそいつらが袋だたきにされている。
私や結雅は百人相手でも一人で大丈夫だけど流石にあいつらには無理がある。
幹部の奴らだったら全員でならいけると思うが、あいつらと場数が違うからな。」
幹部の奴らは全員私たちの幼なじみだからみんな私たち双子には及ばないにしても場数は踏んでいる。
本郷冷は頭は良いけど考えずに行動して、いつも余計ややこしいことにしやがる。
椎名遊夜は頭の回転が速く頭脳戦が得意。でも、決して弱いわけでは無い。冷と遊夜は対等に戦える。
その二人がこの場にいないのは少しきつい。いくら私と結雅がいたとしても死鬼の人数と戦うには無理がある。
早く来てくれ...!
「結!!わりい遅くなった。」
「で、あの馬鹿はどこ?」
「冷、遊夜。それがさっきから結雅の姿が見当たらないんだ。」
「..俺なら誰にも邪魔されないところに連れて行って嬲り殺しかな。」
「相変わらずえぐいこと考えるなぁ。遊夜。」
「私でもそこまでしねぇよ。」
「まぁ、此処の総長がどんな奴かわかんないからあくまでも憶測にすぎないけどね。」
どっちにしろ早く見つけないとな。
「おい、そこに隠れてるネズミ共隠れてねぇで出てこいよ。私たちと楽しいお遊びしようぜ?」
「うわちゃぁ...こりゃ血の雨が降るな。」
「俺らの総長はホントにキレると怖いからな。てか、俺の考えよりも絶対にえぐいことしてるよな?」
「気にしたら負けだ。」
話していると死鬼の下っ端だと思われる奴らが出てきた。
「ふーん。ざっと三百人か。」
「思ったよりも少ねーな。」
「大方、副総長が片付けたんだろ?」
まぁ、想像よりは少ねーが遊んでやるか。