初ログイン
カウントダウン後10時ジャストにDLOにログインした私ことリリィは多くのプレイヤーで賑わうログイン地点の噴水広場からとりあえず脱出しようとしてます。だってね、人多すぎてぶつかりそうだし、というかぶつかって当たり前状態だし。なので沙織に連絡を取ってっと。
メニューを開くと目の前に仮想ウィンドウが広がる。そこからフレンドの項目を選んでっと・・・うん、間に合ったみたいね。フレンドの窓には《レミィ》の名前が。まだ誰とフレンド登録してないからこれが沙織の名前になるのね。って言ってもいつもの名前だけどね。
チャットをつなぐと電話みたいにその人にだけ会話が聞こえるようになる。周りに人がいても問題なし。便利だよね。というわけで早速
「沙織~じゃなくてレミィ~今どこ?」
『小百合?じゃなくてリリィだね。いま噴水の前。すっごい人だね。さすがオープン初日!』
とりあえず元気いっぱいらしい・・・どこで待ち合わせするべきかだね。
「私は今広場の南出口付近。ここまで来れる?」
しばらく無言が続き、そのあと誰かに肩をたたかれる。見ればショートヘアの私より少し背の高い女の子が。装備は同じ初期装備なんだけど彼女はスカートでなくズボン。たぶん近接系なんだろうね。で、誰かって?声かけられなくてもわかるわね。もちろんレミィですよ。色が違っても同じ顔だからね。
「チャットより来るほうが早かったのね」
『リリィ・・・見た目地味ねぇ。』
第一声がそれですか・・・まあ彼女より地味ですけどね。
レミィの見た目はピンク色のショートヘア。エメラルドグリーンの目。肩には熊のぬいぐるみ。彼女、熊のぬいぐるみが好きですから。もちろんリアルでもね。
「派手すぎるのは嫌なの。ところでチュートリアルは?」
『今来たところだからまだ。で、チュートリアルはNPCからのクエで・・・あの人だかりの中の人。』
レミィが指差すのは私たちより少し離れたところにいる人の塊。受けなきゃ武器貰えないのよね、あとお金も。仕方ない、受けてきますか。受けたら個別フィールドになるので終わるまではスムーズに進むはず。
「レミィ、終わったら一度ログアウトね。昼食にしましょ。」
『OK!またあとでねっ』
手を振りながら走ってくレミィ。あわてなくても大丈夫だと思うのに、人にぶつかるよ~
人だかりに近づく。とりあえずPCは緑、NPCは黄色で名前が表示されている。緑の中心に黄色がひとつ。ちなみにチュートリアルNPCは出口4箇所すべてにいるみたい。どこも同じような感じでしょうねぇ。
なんとかNPCの元へ。名前はアントニーさん。革の胸当てを着けた中年のおじさん。とりあえず話しかけてみようかな。早くしないと押しつぶされそうな感じ。
「こんにちは~」
とりあえず挨拶を。するとアントニーさんが
『新人冒険者かな?私は初心者指南役アントニーだ。もし時間があるなら簡単にだが基本を教えてやろう。どうするかね?』
目の前にYESとNOが。タッチはできない、というか人に押されてる状態で身動き取れないのでYESのほうに視線を向ける。この選択肢に答える方法、タッチするか視線で選ぶのほか、もちろん言葉での選択もできるのですけどね。
『ここでは無理だから場所を移そう。』
アントニーさんがそう言うと目の前が一瞬真っ暗に。次の瞬間広い野原にいました。目の前は指南役のアントニーさん。もう一度話しかけるのかな?