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パリンプセスト1

鍵をかけたはずの家の扉が半分空いていて、

鍵をかけ忘れたのかと思って扉を開いた途端、異常に気がついた。

玄関にも廊下にも部屋の荷物が散乱している。


誰かが鍵を壊して侵入していた。


最初は冷や汗が出て、緊張しながらすぐに警察に電話して、普段ほとんど顔を合わせない大家にも連絡したけれど、彼らが到着する頃には家の中の惨状にげんなりしていた。


家の中は、出かけ際に待っている彼女をイライラさせながらマフラーを探しているような状態になっていた。そこをかきわけかきわけ、何が盗まれたのか、壊されたものは何かを探していかないといけなかった。

警察がやってくると、彼らによる調査が入り、何が盗まれて何が盗まれていないかを確かめながら事情も聞かれることになった。


鍵は結局壊れていなかった。


途中からすみれもやってきて片付けを手伝ってくれた。結局盗まれたものはなかった。犯人は開いた扉から侵入し、荒らすだけ荒らして、金目のものがないとわかるや玄関から立ち去ったということだった。


こんな家に金目のものなんてないだろうに。


警察の担当者からは、空き巣は家に侵入する前に調査をして、狙った家が長時間不在だと確かめてからでないと侵入しない傾向が強いこと、窓の鍵が閉まっていること、盗まれたものがほぼないことから、本職の空き巣の行動とは思えないということ、僕のいない行動時間を把握していることから、盗人は知り合いである可能性が非常に高いと説明してくれた。


「もしかして、あの本を狙ったんじゃない?」

「多分、そういうことじゃないかと思う。ちょうど、2倍出すから返品してくれっていうメールがきてたんだ。でも、ネット上の取引先は僕の生活リズムを知らないと思うけど...」

「私もそこが気になるのよね...なんだか説明できない」

腑に落ちないことばかりだったけれど、本を図書館に移したのは良かったことになる。


僕とすみれは適当に片付けたあと、念のため漫画喫茶に移動して話をすることにした。すみれが、ちょっと他の人がいるところでは話しにくいといって、移動してから写本の話をしはじめた。

すみれは、ラエマ冬の書には隠されたメッセージがある可能性が高いと話を始めた。

「確証はないんだけれど、ラエマ冬の書はパリンプセストじゃないかと思うの」



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