写本3
大学には、古文書を調べるために比較資料が整っている。場合によっては貴重な資料を周囲の大学や欧州から借りられる。
大学での調べ物は、英語がたどたどしい自分では捗らない。こんなときに彼女がいてくれたらよかったのだけど、この時間はバイトが入っているという。
1人ため息をついた肩に気がついたのが、レポートを提出する予定でいた漆原先生だった。
「なんだ、レポートはどうした?
本当に君は何が大事で何が…」そこで声が止まった。
「革の装丁に羊皮紙...これは年代が古いね...。どこで見つけた?いやそれもそうだが...制作は1500年代だろうな...」本を勝手に手に取って珍しいものを見つけた子どものように教授がはしゃぐ。
「どこで手に入れた?擦過した跡がある。わかるかね?古英語だね...これについての意見は?前回のレポートで要求したことが全て分かっていれば気がつくはずだ」
「これは、多分封印について書かれた、封印のための本だと思います」
自分の考えでは、ラエマは冬の書は夏の書のおまけや補遺集ではなく、ここには何らかの意味を込めたのだ。
「図書館で調べたのですが、この本のイラストには、キリスト教のサインのようなものが見つかります。そして、いくつか封印のための紋章が書いてあるんです。だから、これは何か特別な意味があると思います」
「まぁ、すみれちゃんにも意見を聞く事だな。君がもしこれからレポートを出すつもりなら...この本を図書館に保管しておくならレポートを受け付けよう。この本は湿気や虫から守る必要がある」
先生は、それじゃ、レポートを楽しみにしているよ、といって立ち去った。
本を図書館に預けて帰ると、メールが届いていた。
「ラエマ冬の書を返してください」
修正対応:ラエマ冬の書の寄贈