冬の夢2
すみれは、夢を連続で見るというのは始めてだと言っていた。
ヒイラギを大きなハサミで切ろうとして、手にトゲが刺さってぷくりと血の玉が浮き出たこと、大人の男性陣は自信ありげに「ヒイラギ飾ろう」を歌っていたことを覚えていた。
「それから私たち女性はツタとヒイラギを集めて飾ったのと、男は薪を集めに出かけていったわ」
夢の続きをみたということは、多分ラエマ冬の書のことを考えているからだと思う。僕も本のことを考えているんだけど、男だからなのかそんな夢はみていない。少し残念な気持ちだ。
「でもさ、もし今日も同じ夢をみるのなら、今度はすみれがツタの歌を調べておけばいいと思うんだけど」
「そうね。Ivyの歌を探してみる。それとね、昨日届いたって。別の図書館に所蔵されていたもう一つのラエマ冬の書。
これでかなり色々なことが分かると思うのよね。
ラエマ冬の書はきっと他の写本もパリンプセストになっていると思う。私がラエマなら絶対そうする。私たちのラエマ写本が20世紀に作られたなんて思えないの」
「どうして?」
「もし特殊なガラスで読めることを前提にしてたら、この文字が読める人へ、って書いたりしないと思う。別に私も確信があるわけじゃないけど。
キリスト教にとっては、16世紀にカトリックとプロテスタントが別れるまでは相当動乱があったから、その前段階でこっそりとこうした本が出ているというのは、あってもおかしくないなとは思う」
アシュリーは、ラエマ写本のパリンプセストは、日記部分に西暦1400年代、つまり15世紀と書いてあっても、後世になってつけられたと考えていた。具体的な日付ではなく年号だということが、何かの別の本から引用した証拠かもしれない、とアシュリーはいっていた。
そのどちらが正しいのか、2冊目の写本が示してくれるといいのだけれど。そしてツタの歌を見つけなくては。
後書きです。
後書き機能で書いたことありませんでした。もしよろしければ評価点つけてください。