パリンプセスト4
自宅に戻って寝るというのも危ない気がして、漫画喫茶で寝ることにした。すみれも漫画喫茶で寝るのは滅多にないとかいって付き合ってくれた。
次の朝一緒に起きると、コンビニで朝ごはんを買って道すがら食べ、大学の図書館へ向かった。
ラエマ冬の書を借り出した。朝早い図書館では机も空き放題だったけれど、できるだけ奥の机に置いた。
ラエマ冬の書は、最初に見たときよりも重厚な感じがした。
すみれが、最後のページ付近の半分に折り曲がった綴じ込みのようなページをそっと開き、ブラックライトをあてる。
白っぽい紫の光に反応して、何も書かれていない羊皮紙に文字が浮かび上がる。
やはりこの部分はパリンプセストだった。
ライトが照らす範囲が狭いせいで、全部は読み取れない。
書いてある言葉は古英語のようだった。文字数はそれほど多くない。
「これは...詩だわ」
「キリスト教の外典?」
彼女は首を振って大きなため息をついた。
「全然違うわ。これは一体どういうことなの」
詩のタイトルは、Holly and ivyと書いてあった。
「知ってるの?」
「調べなさいよ。これはホーリーアンドアイヴィー、れっきとしたクリスマスソングよ」