カエル
三題噺。冷酷なカエル、砂漠、PSPで書きました。
これは世界の果て、見果てぬ大地の物語。
その大地には砂漠に覆われていた。どこを見ても砂、砂、砂。まるでこの世界から水という分子が消え去ってしまったかのようだった。
ズサッ、ズサッ。どこからか砂を踏みしめる音が聞こえる。音の主は一匹のカエルであった。
カエルといってもただのカエルではない。むしろ、彼らのことは今では人と呼ぶのが正しいのかもしれない。
彼らカエルが、この世界でのヒエラルキーの頂点であった。人間はとうに地上に問屋を下ろして、地下に潜ったからである。
カエルは砂を踏みしめる。ズサッ、ズサッ、と。
ーカエルよカエル。おまえはどこに行きたいんだ?
私は彼にこう呼びかけた。ちなみに私はこの世界の神様の1人だ。この周り、東京ドーム三個分が私の統べる領域。
「なにものだ?」カエルはあたりを見渡す。しかし当然そこには何にもない。
ー私はこの地域に祀られてきた粟津神社の神である。そなたにもう一度聞こう。おまえはどこに向かっている?
私の言葉を聞いて、カエルは状況を理解した。彼らはいかなる状況であっても慌てることはない。それはカエルだからなのか。この世界にカエルしかいなくなったからかは知る由もない。
カエルは地に片膝をつけ、こう言った。
「私は死に場所を探しています」
ー死に場所?それはなぜだ。
「はい。私は一族であるカエルを殺しました。私は冷酷なカエルです。カエル一匹、二匹殺してもなんも罪悪の芽が咲きませんでした。むしろ、更に殺すことにより、自らをカエルだと思わせることができるよう、共に暮らしていたカエルを全て殴り殺してしまいました」
彼は冷酷なカエルのようだ。彼がしゃべっている時に挙動をみたが、彼は根では自分が間違っていないと思っているのだろう。震えなどが一切ない。
ーそなたは何を望んで殺したのだ?
「それは自らをカエルと実証するためです」
ーなに?
「私はカエルの中でも頭がきれるほうでした。むしろ私たち一族が生き残っていたのは私のおかげであったと思います。なので、私は自分を疑いました。ええ、そうです。私はきっと人間ではないかということに疑いを持ったのです。だから私は同族を殺すことによって自らがカエルではないことを証明したかったのです」
カエルはさらにこう続ける。
「神様。もしあなたが本当の神様ならば私の願いをお聞きください。私を人間のいる地下の世界に連れて行ってください。私のような冷酷なカエルはこの世界にいてはならない存在です。どうか神様、お願いします」
頭を下げたカエルを見て思った。このカエルは冷酷かつ、残酷なカエルだということを。
私は彼の要求を受け入れることにした。カエルの横にぽっこりとマンホールぐらいの大きさの穴を開ける。
それに気づいたカエルは、昔のカエルのように両手を這いつくばせ、私に礼を言った。
この話の結末はいとも簡単なものだ。
カエルは地下に住む人間のもとに穴を通ってたどり着いた。そしてその瞬間、
グチャ!!
カエルの頭にPSPが降りかかった。そして、冷酷かつ残酷なカエルは命を落とした。
PSPを振りかざしたのは年端もいかない女の子であった。
「ママー、なんか変なのがいるー。ちょっと来てー」
冷酷かつ残酷なカエルは変なのというニックネームに変換されて命を落とした。
所詮カエルは井の中の蛙、いや砂漠の中の蛙だったというわけだ。
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