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ヤクシニーの愛  作者: 臣 桜


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第6話

 私は人を愛するという事が分からない。


 大人になって数人の男性と付き合ったが、良さがまったく理解できず、キスやそれ上の事をされた時は気持ち悪さを感じた。


 だから、その時は〝剪定〟してなかった事にした。


 母は私に剪定の仕方を教えてくれたけれど、人の剪定に関しては下手くそだったから、私はもっと上手く、誰にも見つからないようにやってのけた。


〝剪定〟の処理をするほど、独特な味のする肉に病みつきになっていったけれど、依存はいけないと思って自制した。


 男たちは世間的には行方不明者という事になったが、世の中、知らないだけで行方不明者は山ほどいる。


 関係があったという事で警察に話を聞かれた事があったけれど、男たちの欠点を口にすれば納得して去っていった。


 たとえば、店員に横柄な態度をとる男は、表向きいい人ぶっていても、どこかで本性を表す。


 それを嫌がっている人がいるのは事実で、トラブルに繋がってもおかしくない。


 何でも物を買って女性に与えればいいと思っているタイプは、ただの見栄張り。


 いい格好を見せるために、生活を切り詰めてでも無理をするから、本当は金銭トラブルを抱えている。


『そういえば……』という体で彼らの欠点を口にして、トラブルになっていそうな事をほのめかすと、警察の疑いの目はあっさりそちらへ向いた。


 やがて私は社会人になり、〝普通〟に擬態して無味無臭の日々を過ごし、上司に紹介されて今の夫と結婚する事になった。


 夫は害にならない男だけれど、勿論愛する事はできなかった。


 母が圭太を溺愛していたように、私を裏切らない存在は子供だけだ。


 だから、子供が生まれる前から最高の環境を整えておかなければ。


 産休をとった女性にも優しく、福利厚生がしっかりしていて、女性が管理職になれる会社に勤め、子供が生まれるまでバリバリ働いて貯金する。


 そこまで入念に準備していたのに、私と夫の間にはなかなか子供が生まれなかった。


 ――こんなはずはない。


 ――幸せな家庭を築くために、十分な努力をしたはずなのに。


 ――まだ私は間違えているの? こんなに私だけを愛してくれる息子を望んでいるのに!


 私よりずっと学歴の低い女が、次々に結婚しては出産している。


 私はそれを屈辱的な想いで見守り、表面上は笑顔を張り付かせて『おめでとう』を言うしかできなかった。


 病院にはまじめに通ったし、夫にも協力するよう頼んだ。


 けれど次第に夫から、夜の営みを義務化、嫌がる雰囲気を感じた私は、焦りを感じて神頼みしようと決めた。


 向かった先は、徒歩圏内にある鬼子母神を奉る神社だ。


 ――男の子が生まれますように!


 ――無事に生まれてくれたなら、神様から授かったその子を、何があっても一生愛し、守り抜きます!


 お百度参りをしたからか、念願の男の子――智也が生まれ、私は〝いい母〟になるよう努力した。


 子供が間違えても叩いて言う事を聞いたりしない、友達のように接する事ができ、自然と尊敬される理想の母だ。


 その後、夫は案の定、自分より稼ぐ私に劣等感を抱いて浮気した。


 結局、男は何をしても裏切る。


 自分より弱く、いい気分にさせてくれるアクセサリー感覚の女のほうがいいのだ。


 だから、〝剪定〟した。


 母は強くあれば浮気されないと言ったけれど、結局それも外れてしまったのだ。


〝剪定〟したけれど、私を裏切った夫とその浮気相手だけは、汚らしくて口に入れる事はできなかった。


 智也には、父は海外出張していると伝えていたけれど、長らく別居状態にあった。


 たまに智也に会う事を許していたけれど、息子はもう大学生になり、大人顔負けの分別を身につけている。


 それなら、見習う事もないクズの父親は要らないだろう。


 先日〝剪定〟した二人分の残骸が見つかったみたいだけど、フリーマーケットで売っていた男物の靴や服を纏って〝廃棄〟しに行ったから、鑑識を誤魔化す事はできただろう。


 鑑識は足跡から体重の掛かり方も分かるというから、体重を増すための重りを身につけ、大きな靴全体に体重が行き渡るよう、インソールを重ねた。


 ゴミは毎朝私が捨てに行っているから、智也が気づく事もない。


 智也にとって害になるものも、全部取り除かなくてはならない。


 厚顔無恥にも智也に近づいた毒女は、少し調べれば〝真っ黒〟である事が判明したから、排除するのは簡単だった。


 大学では清楚なタイプでやっていたんだろうけど、これで淫売確定だ。


 ああいう手合いは、私が〝剪定〟するより、情報を操っていったほうが将来的なダメージが大きくなるだろう。


 それに〝剪定〟して、あのゴミ女の肉を智也の口に入れるのは嫌だ。


 けれど、智也を合コンに誘う〝友達〟は要らない。


 このまま彼が智也の側にい続ければ、今後もキャバクラや風俗など、私の望まないものを紹介しかねない。


 私の智也は、いつか私が見定めた然るべき女性と結婚しなければならないから、その時までは清らかでいてもらわなくては。


 智也の事は私が責任を持って、愛してあげるからね。




 二人で美味しいハンバーグ、沢山食べましょうね。




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