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前世編/魔術師ディーの罠②


 ◇


 ———ここへ来て二日目。


 私は帝国一の魔術師ディー様より、祝福を与えたいと呼び出されていた。


 昨夜のアウトリタ皇帝陛下に続き、なぜ貧民である私にそんなものを与える必要があるのか分からない。


 もしかすると今度こそ、邪魔者の私を殺すためではないか。


 使用人の一人に案内され、私は薄暗い通路を歩いた。

 それこそディー様は城内にある隠し部屋のような場所に待たれていた。



 「———やあ、初めまして。」


 「初めまして。ディー様。エステレラと申します。」


 「畏まることはないよ。皇帝陛下から特別に召し抱えられた子だと聞いた。

 トルメンタ帝国の皇室に仕える者なら必ず、祝福を受ける決まりになっているからね。」


 恐る恐る顔を上げる私に、ディー様は目線を合わせて少し腰を曲げた。


 薄暗い部屋で、ディー様のオッドアイの瞳が、本で見た宝石のように美しく映えている。

 正直、こんなに綺麗な男性は今まで見たことがなかった。


 「じゃあ、額に手を当てるからね。

 すぐに終わるから、緊張しないで。」


 そう言ったディー様の手が、私の額に触れた。ひどく冷たい手だった。


 ………………………………



 「終わったよ。エステレラ。もう目を開けてもいいよ。」


 どれくらいそうしていたのか。

 

 ディー様の触れた冷たい手が、熱を帯びて離れた。

 目を開けるとディー様は、なぜか不思議そうに私を見つめている。


 確かに、帝国一の魔術師と謳われているディー様を初めて見た時は怖かった。

 けれど柔らかそうな銀色の髪がローアルを思い起こさせ、なぜか親近感がわいてしまう。


 「あの。ディー様。ありがとうございます。

 素敵な祝福でした。」


 私は着ていたスカートの両裾を軽く持ち上げ、笑顔で礼をした。

 ディー様は驚いたように目を見開いた。が、次にはふんわりと笑った。


 「もう行っていいよ。」


 「はい、失礼します。」


 もう一度礼をし部屋を出る。

 私は外で待機していた案内人に連れられ、その場を立ち去った。


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