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異世界からの転校生

予め鍵が掛ってない事はさっき来た時に確認した。おそらく私のことを不審者か何かと勘違いして警戒しながら外に出たためその後鍵を掛けるのを忘れていたのだろう。


そして名村はエリスが逃亡しないように退路を塞ぐ。ドアの鍵は施錠されているので逃げ道は異世界に帰る時のルートだけだ。


一瞬、七瀬は玄関に向かおうとしたが先にドアが開いた。


外からスーツ姿の男女4名が入ってくる。


戸惑う3人を他所目に気が付けばリビングまで警察手帳を見せながら上がってきた。


「エリスさん、初めまして。日本の警察という組織のものです。単刀直入に申し上げますが、異世界から来られたとのことなので色々お話をお聞きしたい」


スーツを着た男性が顔色を一切変えず強張った表情でエリスに話しかける。


しかしエリスはそれを見てもなお笑顔で


「良いですよ!何の話が聞きたいんですか?」


と答えた。あまりの空気の読めなさにその場に居た全員が唖然とするのだった。


「ここではなく場所を変えたい。着いてきてくれ」


そう言いながらエリスは公安に連れられて玄関の方に向かう。それを見た橘は思わず声を上げる。


「それ、卑怯じゃないですか!エリスを返してください!」


「橘くん、ごめんね。事情は後で話すから」


名村にそう宥められヒートアップしかけた橘は冷静になる。


そしてエリスを含めた5人が居なくなった後で名村は語りかける。


「2人はさ、エリスちゃんのこと、そして異世界のことを味方だと思ってるの?」


当然です。そう答えようとした橘だったが、ふとある光景がフラッシュバックする。


一瞬だったが、微かに記憶している初めて触れた死体。心のどこかでずっと引っかかっていたがあれは疫病か何かで亡くなった人たちを安置しているものだと、勝手に自己解決していた。


「味方だと思ってます。じゃなけりゃ俺にわざわざ魔法を、剣術を教える必要はない」


そう答えると、名村はため息を吐く。


「そう、そこなのよね〜イマイチ真意が見えないのは」


そう言いながらタブレットをカバンから取り出し、2人に見せる。


「この前橘くんが倒したあの〜イノなんちゃらってウシみたいなやついたでしょ?」


「イノタウロスですね」


七瀬は口早に訂正する


「あ〜そうそうそんなやつ。で、これがその死体をDND鑑定に回した結果なんだけど」


「・・・なんて書いてあるんですか?」


ぱっと見英語で色々と書かれてある文章に2人は困惑する。


「要はここ見て欲しいの。要約するとこっちの世界のウシと、異世界のイノなんちゃらのDNA一致率が95%って出てるのよ」


「それってつまり、親子ってことですか?」


「血縁関係があれば100とか、99%になることが多いわ。で、この95って数字は先祖が一緒とか何かしらの繋がりがないと出てこない数字なの」


「先祖が同じってことはこっちの牛と異世界のイノタウロスが同じ祖先って事ですか?」


「そこが分からないのよ。あの世界色々と不思議なことが多くてね。裏で国家を挙げて大規模捜査してる所」


そこまで話したところで名村はハッと口を押さえる。


「ごめん今色々話した情報とかこの資料とか全部国家機密に指定されてるから、絶対に口外しないでね!SNSとかLINEとかここだけの話とか全部NGだから」


とついさっき口外してしまった人に注意される。2人はため息を吐きながら本当で大丈夫なのかと訝しむ目をする。


気が付けば朝の7時半を回ろうとしていた。時計を確認して名村は七瀬の部屋を後にすることにした。


「いい?今日はこのアパートの敷地から出ないこと!明日は朝学校まで迎えにいくから。それと連絡があったら電話するからすぐ出ること」


これまで散々聞かされたことを再度忠告され、部屋を後にする。


とりあえず外に出ればどうなるか分からないから今日は待機命令とのことだ。橘は自分の部屋に帰り、雑魚寝で消費した体力と寝不足を新品のマットレスで補うことにした。


そして特に何もなく、翌日を迎える。


公安からとりあえずの口止めでLINEは返信するなと言われたのでしばらく放置していると、おととい中途半端に返信したせいで死亡説や口封じで殺された説が囁かれていた。


一応既読を付け、せめてもの生存確認の意を送りアパートの下で待機している車に乗り込む。


中にはすでに七瀬が乗っていた。そして運転手は名村だった。


「おはようございます」


「おはよう。ごめんね、色々制限しちゃって」


「いえいえ。それで今日僕たちは朝起きたら魔法に目覚めたマジカルな魔法使い設定で良かったんでしたっけ?」


そういうと他の2人は目をぱちくりさせる。


「橘くん、昨日のニュース見てないの?」


「う、うん。どうせ気が滅入るから昨日はスマホもテレビも付けてない」


「じゃあ私からのLINEも見てないの?」


「朝何か来てるのは見たけど内容までは」


「はぁ・・・」


そうため息を吐きながら七瀬はスマホをこちらに向ける。


そこには見慣れた姿の少女が居た。


「え、エリス!?どうして」


「昨日、異世界の存在を明らかにするって急に上が言い出したのよ。それでエリスが異世界から来た初めての人間ってことでこうしてメディアに向けて会見したの」


「異世界の存在は隠すって方針だったんじゃ!?」


「だから私も驚いてるのよ。まあでも、色々大人の事情があったみたい」


名村は一連の出来事を大人の事情と濁したが、実際はもっとドス黒い国家間のやり取りがあったと小耳に挟んでいる。


異世界に行けるゲートが現れたり、魔法のような異能力者が居るのはどうやら日本だけらしい。


原因は分からないが諸外国、特にアメリカが中心となりオープンな情報開示を求めて色々暴れたと聞いている。


そして学校に着くとさらに驚くことが起こっていた。


「初めまして!本日からお世話になりますエリスと申します!」


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