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努力しないと強くなれないのである

地図を元に導き出した答えはただ一つ。俺は洞窟からUターンして街に戻ってたようだ。


「良かったね〜そのまま戻ってなかったらどうなってたことか」


聞くとこの高原の先には別の国があるらしい。国と言っても元々は1つの大きな国だったが、エリスに初め案内してもらったダンジョンからモンスターが出てくるせいでいつしか2つの国は分裂。


極め付けは戦争によって両国とも国境を中心に焼け野原になり、現在のような草が生い茂ったり、砂しか無い荒れ野原になったらしい。


「ってことは俺は運が良かったってことか」


「そう言うこと」


我ながらよくこの状況から生きて帰ってこれたと思う。そもそも七瀬が居なければと考えると現実異世界様々な偶然が重なって今生きているのだ。そもそも異世界に来てなければこんな言にはなってないのだが。


その後は七瀬の魔法で一度現実世界に帰り、そのまま七瀬宅のシャワーを借りた。ちなみ現実世界と異世界を行き来できる魔法は魔法系じゃないと使えないらしい。



服もボロボロだったので七瀬頼み、一度同じアパートの橘の家まで適当な服を取りに行ってもらった。


ここでも意外な事実が判明したのだが、二人は同じアパートに住んでいたのだ。


ここまで来れば運命を超えてもはや家族のような感情さえ覚えてしまう。


橘は七瀬が使っているであろう少しお高めのシャンプーの使用感に感動しながら数日ぶりのお風呂を堪能した。


一般的に異性の家に行くと言うのは男なら少しの緊張を覚えるだろう。しかし記憶ではついさっきまで死にかけていた橘にとっては緊張より生きている実感が勝り、意外にも何も感じなかったのである。


「橘くん、服適当に取ってきたからここ置いとくね」


前言撤回。全裸の自分の扉越しに同級生の女の子が自分の服を置いてくれると言う状況で一気に緊張が勝ってしまった。


そして不意に自分の置かれた状況を考えてしまい、橘人生史上初の同級生の女子の家に上がっていると言うことを気がついた時には鼓動が止まらなくなっていた。


そもそもシャワーを借りる事になったのも、七瀬宅から橘宅まで離れていると思っていたため、七瀬の優しさで提案された事だった。


入浴中に服について呼び出しボタンを通じて会話した時に同じアパートということが判明し、鍵を閉め忘れていたのでそのまま入って取ってきてもらうという流れになった。


「まあ、確かになんか造りが似てるな〜って思ってたんだよな〜」


そんな独り言を喋りながら言われてみれば一緒の構造のお風呂から上がる。


「七瀬さん、色々ありがとう」


「こっちこそ!橘くん数日学校に来てなかったから心配したよ」


「因みに今日って何曜日?」


「土曜日。ほぼ1週間休んでたし、連絡も無いって言ってたからクラスのみんな心配してたよ」


どうやら約3日程度異世界を彷徨っていたらしい。意識が朦朧としていたので記憶はそんなにないが、改めてよく無事で帰ってこれたと再び実感する。


その後、橘は一度家に帰り休む事にした。休み中に宿題が出てたらしく、明日写させてもらう約束をして家を後にする。


流石に隣の部屋という奇跡は起きなかったので橘は七瀬の部屋より1階下の自分の部屋に戻り、そのまま泥のように眠った。


翌朝、目が覚めても反射的にここが異世界だ。自分は行く当てもなく彷徨っている。そんな記憶を思い出し飛び上がるように目が覚めた。


しかし住んで1ヶ月も経ってない現実世界の自室のベットの上に居ることで安堵するのだった。


今日は日曜日。勉強会という名の宿題救済会は11時からだが現在はまだ7時。どうやら15時間以上寝ていたらしい。


普段ならこのままゲームなどをして自堕落に過ごすのだが、ふと婆さまとエリスの言葉を思い出し、東京に来てから初めてのランニングを決意した。


引っ越す前に使うかどうか分からないがとりあえず買ったランニングウェアを引き出しの一番下から引っ張り出し、最小限の荷物だけを持って外に出る。


引っ越してきてから、ゆっくり街を探索する事は無かったのだがランニングで街を探索するというのは意外にも面白かった。


信号待ちでちょいちょい止まるのがキツかったのだが、異世界の荒野を生き延びたからか、以前より体力が付いていると実感した。


適当な住宅街に入ると地元とはあまり変わらない下町が広がっており、美味しそうなパン屋や昔ながらの定食屋などを次々に発見し、絶対今度行こうと思う店を脳内で4店舗ほどブックマークした。


適当に4kmほど走り帰宅し、YouTubeで筋トレ動画を検索しながら実践してみる。どうせ3日坊主になりそうな予感と、絶対日課にするんだという意思を交互に交えながら腕立て伏せをしていく。


体力の方は以前よりついた実感があったのだが、筋力の方は全然だった


「ゼェゼェ・・・」


顔が梅干しを食べた時みたいにクシャッとなりながら全身に力を入れて動画通りの筋トレをしようとするが、後半から全然真似できなくなる。


この日は腕立て伏せと腹筋を鍛えたのだが、鏡に映る貧相な腕の自分を見て日課にして努力することを決意した。


その後はダラダラと過ごして約束の時間に1階上の七瀬の家に向かう。


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