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第九話 百合に挟まるやつは地獄行き


 イチャイチャ


 イチャイチャ


 腕を組み、楽しそうに笑いながら。

 俺が先輩との想像する姿はこう。


 なのに……


「次はどこ行きますか?赤羽さん。」


「永井さん。あそこにいきましょう。」


 イチャイチャと腕を組み笑いながら、ショッピングモールの服屋へと向かっていく2人。

 

「なぁ、ヤンよ。これはWデートだよな。」


「一応はそうだな、今のところあの二人のデートになってるが……」


 置いてけぼりの俺たち。

 手には大量の荷物。


「どうする?俺たちも手、組むか?」


 こうなったら俺たちもデートするしか無い。


「キモいこと言うなよ!!要、別にいいじゃないか。楽しそうな二人を見てると気が晴れくるだろ?」


 百合……

 それはこの世の神秘。

 生々しい恋愛ではなくゆる◯りみたいなやつ。

 もちろん、見てる分にはいい。


 でも、


「俺だって、先輩とイチャイチャしたいんだよ!!!」


 切実である。


「そうは言ってもあの二人の間に入ってくのか?百合の間に挟まるやつは死あるのみだぜ。」


「うるさい!!!」


 永井さんめ。

 先輩とあんなにすぐ仲良くするなんて……

 許すまじ!


「田波さん……どうかしましたか?」


 服屋から出てきた永井さんが俺に話しかけてくる。

 どうもこうも俺の先輩をあんたが取ったんです。


 ……まぁ別に俺のものではないんだけれど。


「いえ、少し疲れただけですから。」


「そうですか。丁度、赤羽さんとも食事にしようと話していたとこなんで、休憩がてら食事にしましょう。」


 永井さんの提案のもと、俺たちは飯屋へと向かう。

 だが流石の土曜日、どこも混んでいた。

 フードコートにも四人が座れる席などはそうそうなかったのだ。


「どうしましょうか…二手でも分かれますか?」


 そこで先輩からのナイスな提案。


 これで先輩と二人っきりになれると思ったが、このままでは男子と女子で分かれてしまいそうな雰囲気。


 一体、どうすれば……


 俺と先輩とのデートは…

 ラブストーリーは始まるんだよ!!


 俺の心の叫びを汲み取ってか、こんな時にナイスパスを出してくれるのが我が心の友ヤン。


「梨花、食事ぐらい一緒に食おうぜ。」


 クールで少し照れの混じった一言。


「何、嫉妬でもしてた?全くそういう所も可愛んだから。」


 途端に二人だけの世界へ。

 ほんと尊敬するよ。

 二人は席を探し消えていく。


「じゃぁ先輩。俺たちもどこか席探しましょう。」


 そう言い席を見つけ、俺は先輩と二人がけの席についた。


 やっと二人っきりに……


 自分からWデートを申し込んどいてなんだがここまで先輩との距離が縮まらないとは思っていなかった。


 こんな事なら二人きりのデートに誘えば……

 

 まぁそんな勇気あったら苦労はしないか。

 一応、告白はしてるけどね。



 お互いに料理を頼み、いざ食事。

 この世の全ての食材への感謝を忘れず、手を合わせる。


「要君。荷物持ちなんてさせてごめんね。つい楽しくて……」


「いえそんな、先輩が楽しそうなら俺は幸せなんで!!」


 そう、俺は今幸せです。

 別に気にしてないで!!


「そう?ありがとう。」


 少し照れくさそうな先輩。


「あぁそうそう……これ、さっきのお店で買ったんだけど。」


 そう言って先輩は、カバンからプレゼント用の包にくるまれた箱を取り出した。


「これは?」


「別に高いものじゃないんだけど、いろいろ要くんにはお世話になってるし。」


 どうやら俺へのプレゼント。

 そんな…先輩、ほんと大好き。

 ってか俺、先輩にプレゼント上げたこと無いや。

 何やってんだか。


「開けてもいいですか?」


「うん。」


 俺が開けてみると、中からはネックレスが出てきた。


「こんな立派なものもらっても良いんですか!!」


 ネックレスなんて人から初めてもらったよ。

 それ以上に女子からのプレゼント自体初めてだけど。


「気にってもらえた?」


「もちろんです。先輩、愛してます!!!」


 流石の俺も心の昂ぶりを抑えられない。


「ちょっと、こんなとこで何いってんの!!」


「すみません、つい。」


「もう……」


 拗ねてる先輩も超可愛いっす。



 そっからの俺はもう、ハイテンション。

 ショッピングモールをスキップ同然で周り、


 実際スキップはしてません… 


 先輩との会話も弾んでいい事ずくめ。


 Wデートが終わる頃には先輩と今までの3倍は仲良くなったぜ、体感ね。


 そんなこんなで別れの時間。

 先に、ヤンと永井さんと別れる。

 残った俺たちもお互いの帰り道へと別れた。



 「バイバイ」、そう言いながら手を振る天使が降臨。

 

 思わず


「先輩!!大好きです!!!!」


 俺は、先輩の後ろ姿に叫んだ。


 照れた顔で振り返る先輩。


 全ての幸せが凝縮した空間だった。

 こんな幸せがあって良いのか。

 そう考えながら俺は家へと向かった。



 次回、プレゼントfor天使

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