第六話 ボールは友達、なんとかなるさ!
「というわけです。赤羽先輩、明日サッカーの試合があるので見に来てください。」
「別にいいけど……私サッカーのルールとかわかんなよ。キャプ◯ン翼呼んだくらいだから。」
先輩…古いです。
「それでもいいんです。とにかくかっこいいところ見せるんで!!!僕に惚れ直させてみせますから。」
キーパーだけどね。
「あのね、いつ君に惚れたなんて言ったかな?」
調子に乗りました!!
すみません。
「まぁ、別に惚れてないとも言ってないけど……」
先輩は少し、顔を赤らめ言う。
可愛すぎる。
ちょー抱きしめたい。
ってか今、何か意味深なこと言いませんでした?
他意は無いんだろけどね…
先輩ってば少し天然だから。
とにかく明日は試合、頑張ります。
〜次の日〜
「お前ら絶対勝つぞ!!!」
「おぉ!!!!」
何か、いつにもまして気合が入っているチームメイト達。
一体全体どうしたことやら。
「気合入ってますね。」
「そりゃぁ練習試合とは言え、相手は去年の県予選の準々決勝で負けた相手だからな。気合も入るさ。」
なんで、そんな試合に因縁もクソもない俺がでてるわけ?
しかも、先輩に惚れてもらいたいとかいうカスすぎる考えのやつが。
いやでも、俺だってやってやるぜ。
みんなの期待に応えるために!!!
あと先輩に振り向いてもらうため……
「ピィーーー!!」
試合開始の合図がなる。
どうやら試合展開はおとなしい滑り出し。
開始20分で飛んできたシュートは4本。
しかも、まともなシュートは1本もない。
試合感を取り戻すにはちょうどいいペースだった。
とはいえ、こちらのチームもエースが徹底的にマークされている状況。
うちのエースはどうやら有名らしい。
こいつがボールを持つたびに周りからは黄色い声援が聞こえてくる。
赤羽先輩!!
こんなやつに惚れないでくださいよ!!!
そう思って客席に目をやった。
すると、先輩と偶然目が合う。
控えめに手を降ってくる先輩。
か"わ"い"い"ぃぃぃ!!!!
おっと、今は試合中だった。
興奮している暇ない。
試合に集中しなければ!!!
意識を試合に戻す。
すると、丁度味方がボールを奪われてピンチの状況。
これはマズイのでは……
相手の10番がスルスルと抜いている。
更にはワン・ツーで最終ラインのDFが抜かれる始末。
キーパーが2対1の状況になったら負けじゃね?
これ、ゴッド◯ンドでも使えなきゃ無理なやつ。
でも現実はそうはいかない。
使えるの精々、ぶっ飛びパ◯チくらいだから。
さてどうするか。
右にはボールを持った10番、左にはフリーの7番。
こうなったら、一か八かだ。
俺は10番に突っ込む。
シュートを打たれる前にボールに向かって飛び込んだ。
簡単に言うけどこれすごく怖いからね。
普通に死ぬ思いしながら飛び込んでるから。
幸いにも焦った10番がミスをしてボールをキャッチ。
俺のファインプレーです。
これで少しはかっこいいと思ってくれたかな。
今聞こえる歓声の中に先輩の声があればいいなぁ、なんて事を考えてみたり。
そんなこんなで試合が終わってみれば2対1での勝利。
1点決められたけどまぁ及第点でしょう。
チームメイトからもお褒めの言葉をもらったからね。
さてさて、先輩に会いに行こうかな。
「赤羽先輩!!!見ててくれました?かっこよかったでしょう。」
「うん。でも怖くてドキドキしてたよ。こんなのパパが他の組にカチコミいったとき以来。」
そんなのと一緒にされては困る。
カチコミって普通にヤバいやつだから。
「怪我はしても死ぬことは滅多にないから大丈夫ですよ。それより、かっこいいって思ってもらえたんですよね。ちゃんと言葉にしてほしいなぁなんて……」
超恥ずかしいセリフを言ってみた。
でも、試合に勝ってハイになってるからね。
これくらい許して。
「少し恥ずかしいんだけど……ご褒美だからね。要君、かっこよかったよ。」
初めての名前呼び+かっこいい。
もう、死んでもいいや。
昇天いたしました。
ってか可愛すぎでしょ、普通に。
サッカーやっててよかったよ、ほんと……
次回、Wデートがしたい