第二話 天使に告白、ヤクザにカチコミ
「俺は今日、天使に会いました。」
「何いってんのお前?」
ヤンからの鋭いっ込み。
流石はハマの男、鋭さが違うぜ。
「さっきの彼女のこと言ってんならやめておいたほうが良いよ。なんせこの辺で有名なヤクザ、赤羽組組長の娘だからな。」
彼女が言っていたことはこのことね。
しかし、ヤクザの組長の娘だったとは……
「道理で可愛いわけだ。」
「なんでそうなる???」
「だって、燦ちゃんとか八重花ちゃんとか可愛いじゃん。」
組長の娘は可愛いと相場が決まっいるのだ。
「そんな、人魚とかロリっ子とかと一緒にしない!!リアルヤクザの娘だぜ。男は誰も言い寄ったりしなんだよ。まぁ幸いにも友達はいるみたいだけど。」
なるほど、つまりはフリーと。
俺が華麗にゴールを決めればいいと。
きっと今日のために今までPKを外してきたのだろう。
そうに違いない。
「ヤクザとか気にしない、気にしない。だからさ、ヤン。彼女の名前とクラス教えてよ。一生のお願いだ。今度一緒にジョジ◯立ちで写真とってやるからさ。」
「それ、お前がしたいだけだろ!!!」
す、鋭い!!
流石ヤンのツッコミは五臓六腑に効くな……
どんな薬物よりも中毒性があるぜ。
「どうなっても知らないからな。一応教えておいてやるよ。彼女の名前は赤羽壱華、学年は俺たちの一つ上でクラスは3年2組だ。」
年上なのか……いい、とてもいい。
あんな可愛い人が先輩だなんて。
確か、自分のことを知っても気持ちが変わらないなら会いに来てみたいなこと言ってたよね。
俺、飛んでいきます。
「ありがとう!!!じゃ、そういうことで!」
「何がじゃ、そういうことだよ!!」
ヤンのツッコミを他所に俺は3年2組へと向かう。
飛んでいった俺はすぐさま3年2組についた。
飛んでいったはもちろん比喩表現だぜ。
しかし、3年のクラスか…緊張する。
先輩のクラスにカチコミだなんて、小さい虎を思い出すね。
何はともあれ、まずは一言目が肝心だ。
俺は、3年2組のドアを思いっきり開ける。
「赤羽先輩!!!!告白したいので、来てもらってもいいですか!!!」
またまた直球な言葉……でも、さっきみたいについうっかり言っちゃったとかじゃないから。
この言葉、ちゃんと考えていました。
周りからはキャ~なんて言葉が聞こえてる。
しかし、肝心の赤羽先輩は見つからない。
もしかしていない?
ならまた、やっちゃったわけ?
こんな、"俺また何かやっちゃいました"は要らないから。
そんな事を考えていると後ろから背中を指で突かれる。
「ちょっと後ろ。本当……何、恥ずかしいこと言ってんの。」
どうやらお目当ての天使の登場だ。
「あの…先輩、告白した……」
「ちゃんと聞こえてたから。着いてきて。」
俺は、先輩の指示通り着いてくことにした。
あれ?
俺が告白するんだけど、これじゃ逆みたい。
もしかして先輩も俺に惚れちゃったとか……
いや、ないね。
惚れられる要素無かったし。
そんなこんなで気づけば校舎裏。
「まったく……さっきの今で、でもどうやら、私のことは聞いたみたいね……」
「なんでも組長の娘だとか。」
「えぇ。だから特に男の人は怖がってみんな逃げてくわけだけど……それでも、私に告白したいの?」
「関係ないですよ。赤羽先輩は、赤羽先輩です。それに、可愛すぎる人には告白しないと一生後悔しそうなんで。とりあえずは、友達から。」
振られるとかどうとか気にしない。
とにかく当たって砕けろ。
友達からという保険もかけて。
「そう。まずは、ありがとう。」
あれ?これって断る前フリなんじゃ……
「でも、うちのパパは自分が認めた男しかダメって言ってて。だから付き合うわけには…」
そう言いながら、赤羽先輩の手は少し震えてた。
「別に僕のことを振ってくれるのはいいですけど。先輩、いくら組長が相手でも言いなりになるのは違いますよ。自分の意志は持たないと。」
「そうなんだけど……」
何か暗い様子。
もしかして、そんなに父親が怖いのか。
しかし、ヤクザがなんぼのもんじゃい。
俺の愛の前には、ヤーさんも坊さんも敵じゃないぜ。
「わかりました。お父様に俺が認められればいいんですね。ぜひ会わせてください。」
今日会ったばかりの一目惚れ相手の父親に挨拶。
我ながらの急展開。
次回、陽気な父親。