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第十四話 武道は心を一つに

 なぜ彼女が、この勝負を持ちかけたのか……

 それは先輩が中学3年の時に剣道の全国大会で優勝していることを知っているからのようだ。


 ゆいも去年、中学の全国大会で3位入賞している。

 

「いやぁ、いい勝負になりそうだ。」


 なんとも他人事のように俺はつぶやく。


 俺達がいるのは、先輩の家にある道場。

 ヤクザとなると家に道場があるらしい。

 恐ろしい……


「田波先輩は審判をしてください。」


 防具に着替えたゆいがそう言ってくる。


「ルールとかあんまりわかんないよ?」


「それは大丈夫です。田波先輩にしっかりと見ててほしいだけですから。」


 同じく防具に着替えた、赤羽先輩とゆいは見合う。

 俺は空気を読み、試合開始の合図を出す。


 すると、俺の声を聞いてすぐにゆいが先輩に仕掛けに行った。

 

「はぁぁぁぁ!」


 しかし、先輩はそれを華麗に払いのける。

 お互い鍔迫り合いの末、元の位置に戻った。


「赤羽さん、本気出してないですよね。」


「それは……」


「田波先輩に申し訳ないとか思ってるなら別に負けてもらって構いませんから。」


 そう言い、またゆいのほうから仕掛ける。

 今度は先輩が上手く払いのける事が出来ずに押される形になる。


「さっさと負けてください!!」


 ゆいは竹刀を振り上げた。


「私だって今のままじゃいけないことぐらいわかってるから!!」


 負けじと先輩も攻撃の構え。

 お互いの攻撃は交わり、片方の面に竹刀が当たった。

 それを見た俺は試合終了の合図をかける。


「一本!!勝者赤羽先輩!!」


 そして二人は面を脱ぎ握手を交わす。


 俺そっちのけで………

 何やら熱い友情が芽生えたと言わんばかりに。


 それって普通、男の子イベントじゃない??


 その後、ゆいが先輩に何やら耳打ちをし、道場をあとにした。


 俺と先輩はお互いに思うところもあり、少し気まずい空気が漂うことになったが、先輩が


「少し、歩こうか?」


 と言い、俺たちは日が落ちかけている外を歩くことにした。


 お互いに少し気まずさを残しながら。



 次回、告白はどっちから?

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