第十三話 モテる男は辛いよ
「なんで、私じゃダメなんですか???」
男ならば一度は言われたいセリフ。
そんなセリフを言われる俺……
結城◯ト顔負けのモテっぷりである。
「前に言ったけど俺には好きな人がいるから。」
「別に付き合ってるわけじゃないですか。そんな女ほっといて私と付き合ってくれてもいいじゃないですか。」
「お、俺には先輩しか居ないから〜!!」
情けない声を上げてその場から俺は逃げ出した。
戸間ゆい、それが彼女の名前である。
ひとつ下の後輩であり、全学年合同の行事を行った際に知り合った子だ。
別に悪い子ではない。
むしろ、俺に対して積極的に好意を向けてくれているし、先輩が居なかったらきっと付き合っていただろう。
でも、俺には先輩が眩しすぎて他が見えないのだ。
そう、キン◯マンの素顔のように。
ーーー
俺は放課後、先輩と一緒に帰るために校門の前に待っていた。
しばらく待っていると、先輩の姿が見えてきた。
戸間ゆいと一緒に。
もちろん、仲良くと言うわけではない。
お互いに目から稲妻が出ている。
「ごめん、待った?」
隣にいるゆいのことを無視しながら俺に話しかけてくる先輩。
好戦的……
「田波先輩?こんな女ほっといて私と帰りましょうよ。」
ゆいもまた、好戦的な態度で話しかけてくる。
「ちょっと、私が要くんに話しかけてるんだけど?」
「思わせぶりなだけの悪女はどっか言ってください。」
「べ、別に思わせぶりなんかしてないんだけど。」
「なら、田波先輩に関わらないでください。可哀想ですから。」
俺を置いてけぼりにしながらの口論。
先が思いやりる。
「はぁ……」
そんなため息を俺がつくといきなりゆいが話を振ってきた。
「この女、田波先輩がこんなに好意を向けてるのに付き合ってくれないとか、最低すぎません??」
そんな事を言ってくる。
「俺は気にしてないけど……」
「言え、だめです。」
何でだよ……
俺の意見は?
「こんな悪女、同じ女として許せません。」
怖ぇぇぇぇ。
「さっきから黙って聞いてれば、なんて言い草なわけ?一応、私も先輩なんだけど?」
「先輩扱いしてほしかったら、田波先輩にオッケーするか、断るかはっきりしてください。」
「そ、それは家の事とかあるし。」
「ヤクザを理由にするならヤクザらしくけじめをつけるべきじゃないですか??」
おっと……俺の手から離れてどんどん話が膨らんでいく。
「けじめって、要くんの気持ちとかもあるじゃん。」
「もちろん、そうですけど。田波先輩はお人好し何できっと、あなたの都合のいい答えしか返ってこないと思いますよ。」
更にヒートアップ。
さすがに止めなきゃな。
「2人とも落ち着いて……」
俺が声を掛けると今にも殴りかかりそうだった2人が少し、落ち着きを取り戻した。
「まぁ、ここは田波先輩の顔を立ててひとつ提案があります。」
「「提案???」」
俺と先輩は声を揃えていった。
「えぇ、私が勝ったら田波先輩の気持ちにイエスかノーで答える。私が負けたら今の関係のままでも許しましょう。」
「で?その勝負内容は??」
「剣道勝負です!!!」
なぜ、そうなる?????????
次回、剣道対決