第一話 こんな今だからこそ恋愛
「みんな!静かにしなさい。」
先生がそう言葉を発すると周りの生徒たちは「なんだかんだ。」と戸惑い始める。
しかし、聞き分けの良い生徒たちは次第に静かになった。
ここは横浜にある丸井高校の2年3組。
そこの美人教師から大事な話があるようです。
「えぇ、皆さんにとって嬉しい話があります。なんと、今日からこのクラスの仲間となる転校生がいます。」
静かにしていた生徒たちは再び騒ぎ出す。
「なになに、転校生だって?」そんな言葉が聞こえてきた。
まったく、どこのドイツやら?
ドイツって、何言ってんだか。
何ともともつまらないボケですね。
我ながら60点。
ギリギリ単位は貰えるから良しとしましょう。
ボケのポイントは転校生がアメリカから来たのにドイツと言う点。
えっ、そんなことよりなんでアメリカから来たって知ってるかって?
「要くん。入って来て!!!」
先生に名前を呼ばれ俺は教室に入る。
そうです。転校生は俺です。
「転校生の田波要くんです。簡単な自己紹介をお願い。」
「はい。アメリカから引っ越してきた、田波要です。」
アメリカと言う言葉に新しいクラスメイト達は驚きの声を上げていた。
まぁ、なんて言ったてあのアメリカですから。
「中学から親の都合でアメリカで暮らしていたんですけど、日本で生活したくて帰って来ました。趣味はサッカーです。皆さんよろしくお願いします。」
俺の自己紹介が終わり拍手が起きる。
何とも気持ちがいい。
どうやら周りを見てみるとウケは悪くなかったらしい。
一応、もう一つ自己紹介パターンを考えてたんだけど……
涼宮ハ◯ヒのあれ。
やらなくて成果かな?
日本だし通じるとは思うけどなんせもう古いしね、涼宮ハルヒの憂鬱。
どうでもいいことは置いといて、その後俺は周りからチヤホヤされていた。
一限二限終わりには周りは人で溢れかえっている。
日本来てよかったぁぁぁ!!
なんやかんやで放課後。
朝の勢いはなく各々が帰宅準備。
ボッチの俺。
まぁ連絡先とかは交換できたし別にいいんですけど。
〜1週間後〜
一応、友達はできた。
隣に歩いているこいつ。
名前は花沢慎也、あだ名はヤン。
真面目なやつで今も先生に頼まれた書類を運んでいる。
俺はそれの手伝い。
嫌々だが手伝ってやる俺ってば優しい。
別に変な考えとかないよ。
こんなふうに書類運んでると前から女の子がぶつかってくるとか無いかな?
とか考えてないから。
ToL◯VEるみたいなラッキースケベ。
もう、使い古されてるから別に興味ないよ。
興味ないからね。
そんなことを考えていると、ちょうど曲がり角で人とぶつかってしまった。
そう、これが求めていた展開。
相手も女の子だし……
運命感じちゃうわ。
だが、想像と違ったのはその子の体幹の強さ。
俺だけ惨めに吹き飛ぶ。
書類も吹き飛ぶ。
flyaway。
そんな俺をその子はギリギリで腕を掴み助けてくれた。
feat.爽やかで美しい顔で。
ここで俺は思うわけです。
゛惚れてまうやろ!!!!!!゛
心のチャ◯カワイが思わず漏れ出す。
もちろん言葉にはしないよ。
恥ずかしいし。
「君、何言ってるの?」
今なんと?
んん?
どうやら声にまで漏れ出てたみたい。
超恥ずかしい。
俺はその場で呆然とする。
落ちている書類を忘れて。
手の温もりだけは少し思い出しながら。
そんな呆然としている俺を他所に書類を拾ってくれる優しい彼女。
すぐに拾い終え、集めた書類を俺に渡してきた。
そして一言。
「君、先週転校してきた子だよね。」
甘い天使のような声。
俺は先ほどのことを思い出し恥ずかしがる。
しかし、俺もやわな男ではない。
さっきの失敗を生かし簡単な挨拶をする。
「好きです。」
そう、端的でわかりやすい一言。
この上ないほど簡単な挨拶。
んん???
またも言葉をミスってしまった。
いったいどう取り返しを付けば良いのか?
いや、どうでもいいか。
彼女が可愛すぎて俺は思考することを放棄した。
またも俺から意味のわからない言葉を掛けられた彼女だったが、少し戸惑いつつも
「そう、ありがとう。次もし、私が誰なのか知っても同じ気持ちなら……もう一度会いに来て。」
と言うミステリアスなことを言い去っていた。
本来ならここで
彼女はいったい何者なのか?この恋の行方は?
みたいな考えが普通だろう。
しかし、そんな考えにはならない。
なぜなら、俺の脳内には可愛い意外浮かんでいないから。
とは言え読者諸君は気になっているであろう。
いったい彼女の正体が誰なのか。
でも、それは次回のお楽しみ。
"ヤクザの娘"が可愛すぎる第一話完