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すっからかん感  1

 俺はまだ長い話を書けるのだろうか?

 ある日、そう思った。切っ掛けや理由は覚えていない。覚えていないのではなく、そんなものはなかったのかもしれない。時間が経ったいま思い出そうとすればするほど初めからなかったような気がしてならない。でもとにかく一昨年の3月に「長い話」を書き始めた。今もまだ書き手(ドがつく素人だけれど)として、執筆中の物語の中で路頭に迷ってしまったとしても乾いてしまわぬ「気力」と、たとえ途切れてしまったとしても再び繋げ得る、ともすれば主旋律よりも美しい全休符然とした、あの「集中力」はあるのだろうか? そういうことを知りたかった。

 題材は直ぐに思いついた。むしろ一択だった。ずっとずっと昔に書いた作品の「2」。そもそもあの子は誰なのか? 二人はどのようにして出会ったのか? あの四日間を、彼はどう過ごしたのか? 「姉」のその後の人生も気になる・・・・・・等々ぼく自身気になっていたことは沢山あった。だからいつか諸々を「知りたい」と思っていたのだ。


 誰もが知る、我が国の(現役の)巨匠は「長編を書き始めるとき、いつも特別な長旅に出る気持ちになるのでワクワクする」らしい。「長旅」と喩える感覚は、たぶん理解できてもぼくはワクワクなんかしない。

 基本的にプロットを組まないので、だからもちろん結末も決めず、また素人には締め切りなんかもないから、どの程度のヴォリュームになるのかさっぱり読めない。ただ早くて半年か一年は掛かってしまうかもしれない、とはいつも思う。だから今日から書き始めて来年の今ごろまでには終わっているとして、その間の日常にはどんなことがあるのだろう、と思ってもしまう。思って「も」しまう、と言うくらいだから「どんなこと」は「いいこと」があるかな、ではなく「わるいことがなければいいけれど」と悲観的になってしまうのだ。性格なのだろうけれど、あるいはこれまでどのように暮らしてきたか、も関係するのかもしれないけれど、明確なほどの「今」ここから始まってやがて訪れる、手つかずの未来に対しては大概「不安」があるので「新しい特別な長旅の旅立ち」に際しては決してワクワクしないのだ。ちなみに、大晦日に来年はどんな一年になるのかな? と思うときはそうでもない。不思議だけれど・・・・・・。


 長い話とはどれほどのヴォリュームであるべきかの基準は定かではないだろうから「この界隈」で一つの目安的に言われている10万文字を取りあえずは目標に、3月に書き始めて翌年の9月に第一稿を終えた。

 週末に進めるだけ進み、平日は読み直し手を入れる。そのような行きつ戻りつの作業を実に一年半かけたわけだ。

 この話はいつか終るのかな? と思った一方で、とにかく終えたいからここで終わりにしちゃおう、とは思わなかった。この際だから「知れる」ことは知ってしまおうとしたし、この物語には「完結」がちゃんと内在している感覚があった。そこまでの距離と姿が不明なだけでしかなかったのだ。



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