出会いの形は最悪だ 5
この真っ暗な教室が地学部の部室のようだけど、こんな真っ暗な教室入れない。扉を開けた瞬間全員の視線が僕一点に集まる。そんな恥じらいを受けるくらいなら今日は帰ろうか。また明日来ればいい。
決意して振り返ると、そこに一人の少女がいた。そして彼女はこう言った。
「入らないの?」
突然話しかけられたのと、見覚えのあるその顔に僕はフリーズしてしまった。だって、その話しかけてきた少女はあの山河内碧だったのだから。
「興味本位で来ただけだから、こんなに入りにくそうな雰囲気ならまた明日でもいいかなって」
そう言い残してこの場をさるつもりだったけど、彼女は僕を逃すまいと右腕を掴んで勢いよく地学部の部室の扉を開いた。
「遅くなりました。一年三組山河内碧です。よろしくお願いします!」
張り切った元気な挨拶はその場にいた全員の視線を集めていた。そして、彼女がこう言ってしまったから流れは完全に僕の元まで辿りついていた。
とにかく視線が痛い。お前も言えよ。みたいに放たれるその視線が痛い。だけど、ここで何も言わなければ先輩方に失礼極まりない。本当はこんな中で言いたくないけど、こうなったら仕方ない。重たく閉ざした口を渋々ではあるが、小さく開いた。
「一年四組、な中田大智です。よろしくお願いします」
彼女の声とは対照的に小さく呟いた僕の声に周りは静まり返っていた。耐え難い空気だったけど、それよりも僕は初めて女子とがっつり手を繋いだことに今更ながら動揺していた。
「あの、手、離してもらってもいい?」
「あ、ごめん」
相変わらず重たい空気だったが、さすが先輩といえよう、見事のこの空気を改変したのだ。
「よ、ようこそいらっしゃい、一年生ちゃんたち! さあさあ、お好きな席にお座りになってね!」
テンションが高く、ついて行くのには困難で、どことなく樹に似ている元気な挨拶で歓迎を受けた。僕は言われた通りに適当に空いている廊下側二列目一番後ろの周りに誰もいない席に座った。
山河内さんもこの中に一人か二人は友達がいるだろうから僕がその隣を奪ってしまっては寂しい思いをするだろうから、そのことを考慮してわざわざこの席を選んだのに何故だ? 何故、山河内さんは僕の右隣の席に座ったんだ? こんなにも席は空いているのに。友達が誰もいなかったのか? だとしても、わざわざ僕に合わせずに、他の子に倣って四番目のとこに座ればいい。何故、僕の隣の六番目なんだ。
頭をフル回転させても答えは想像もつかなかった。答えが気になるところだけど、本人に訊くわけにもいかず、真相は迷宮入りとなるだろう。今回だけはそれで構わない。




