もっと可哀想な子が居たので舞踏会を譲ってしまったシンデレラ
昔々、シンデレラと呼ばれる可哀想な女の子がおりました。
「シンデレラ掃除をおし!」
「シンデレラ私の服のボタンをお着け!」
「シンデレラ回覧板をお回し!」
若い父親を病気で失ったシンデレラは、義理の母とその連れ子達に毎日のように辛い仕事をさせられました。
ある日、お城から手紙が届きました。
「王子が舞踏会を開くそうよ!」
継母とその連れ子達は、舞踏会の支度に大忙し。
「……あの、わたしは…………」
シンデレラは怖ず怖ずと問いかけました。
「当然留守よ!」
「留守番よ!」
「ステイ、ホーム!」
シンデレラはしょんぼりと肩を落として、暖炉の掃除へと向かいました。
「嗚呼……私も舞踏会に行きたかった」
継母達が出掛けると、シンデレラは窓辺でため息をつきました。
「おお、なんと可哀想なシンデレラ! 私が魔法で舞踏会に連れて行って進ぜよう!」
そこへ魔法使いが現れました。童貞の成れの果てです。
シンデレラは突然の不法侵入に戸惑いましたが、やがて笑って話しかけました。
「この世界には私よりも、もっと不幸な人達が沢山居るわ。だから、代わりにその人達を舞踏会へ連れて行ってあげて」
「なんと心の美しいシンデレラ……!!」
魔法使いは泣きながら杖を振りました。
すると、瞬く間にお城は難民で溢れかえり、見かねた王子は全ての人に金貨を手渡して丁重に帰って貰いました。
シンデレラはお城の前にスタンバって、一人一人から上前をはねました。
「私のおかけで貰えたのよ? 1割よこしなさいな」
こうして、シンデレラは大金持ちとなり、タワーマンションの最上階で優雅にワインを開ける生活を送るようになりました。
スーパーのレジの横とかにある募金箱。最近はキャッシュレスが主流なので、おつりを貰った流れで募金する事が減りましたが、それでもたまに、小銭入れから僅かばかりですが、募金する事があります。