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鳥籠の中で  作者: 蒼井 弥
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ままならない理想

今回のお題は、「親友×靴×試着室」です。

靴メインの話にしたかったんですが、そうはなりませんでした。

 服。可愛い服。綺麗な服。きっと私には似合わないもの。手に取れるほど近くにあるのに、手の届かないくらい遠くにあるもの。私はこういう可愛らしい服を羨ましいとは思うものの強いて着てみたいとはあまり考えたことがなかった。

「ねぇ、これなんてどう?似合う?」

 そんな服をいとも容易く着こなしてしまう彼女。私の親友で憧れだ。

 彼女は試着室から出てくると靴を履いてこちらに歩いてくる。そんな靴ひとつ取ってもきっと私には似合わない。彼女が履いて歩くだけで踊るようで颯爽として、ふと私を置いて行ってしまうような感覚になる。

「えぇ、とっても似合っているわ。あなたは不思議と何時でも何でも似合うのね。」

 私がそう言うと、

「そんなことないよ。私はこういう服が着たいから似合うように努力してるし研究もしてる。あなただってさっきから眺めてるその服。ずーっと見てるでしょ。丸わかりよ。あなたの事だからきっと似合わないなぁ、なんて思ってるんじゃないの?」

 図星だ。私がここまで気に入る服なんて私に似合うはずがないのだ。

「きっと似合うと思うよ。いつもいつも似合わないからとか今じゃないなんて言って着ないのはもったいない。なんでも挑戦あるのみだよ。さぁさぁ入った入った!」

 彼女は私を試着室へ押し込む。足が縺れて壁と手が少し大きな音を出す。

「ちょっといきなりやめてよ。」

 どうせ似合わないし……。目線が彼女の靴を捉える。小さくて可愛らしい。私の足も目に入る。大違いだ。何もかも違う。

「もうやめて。私は見てるだけでいいの。ずっと眺めてるだけで幸せなの。」

 そう言って浅く靴を突っかけるとそこから走り去ることしか出来なかった。その時の彼女の顔なんて、私の顔なんて見られなかった。

試着室の前って靴並んでるよなぁってところから発想しました。


服の悩みってあると思います。

綺麗だと思う服と自分が着たい服は違いますよね。

自分が着られる服なんてなるともっと違うと思います。

難しいですね。どんな格好していても誰にも見られなくて気にされない世界ならいいのに。

その人の服なんて気にしているのはきっとその人だけなんでしょうけどね。

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