鮮やかな赤色をあなたに
今回のお題は、「先生×種×地下」です。
地下は、掘り返したところでネタ切れです。収まりませんでした。
掘り返した地面をもう一度埋め、一緒に種を植える。こんなに小さな種がいつか大きな樹に成り、花を咲かせるのだ。それには一体何年かかるだろうか。この樹は実は生らないけど、それは鮮やかで可憐な花を咲かせるそうだ。なんともこの場所にぴったりな植物だと私は考えてしまった。
「ね、先生。これからずっとずうっと一緒に見守っていこうね。これはふたりの大事な記念だよ。もう何も見ない振りなんてしなくていい。忘れても忘れなくてもいい。私、やっと自分の気持ちで、自分だけで決めて生きていけるの。」
彼女は満面の笑みで私に笑いかけてくる。その赤に染まった頬が妙にいじらしく見えて、彼女を抱きしめた。この強張った手では少し痛かったかもしれない。
今日は彼女の誕生日だ。今言った通り、今日の行いを忘れることも憶えておくこともすべて自由だ。今までの様に体も心も縛られたまま、無為に何も感じない様に生きていく必要なんてない。しかし、今度は私とこの場所がこの子を縛ってしまわないだろうか。そんな思いが抱きしめる手を緩めさせた。彼女は僕の顔を見上げると手を添えてそっと口付けをする。
「私は確かにずっと縛られて生きて来たよ。でも今ならあれがひとつの愛だったってことはわかる。私には向けられていなかったって言うのもよくわかる。だからこそ私は先生を縛らないわ。私も縛られない。こうやってふたり手を取り合って身を寄せ合って、依存でもいい傷を舐めあって生きていきましょう。」
きっとそれがお似合いだわ。彼女はお終いに小さく呟くと、疲れたのか抱き着いたまま眠ってしまった。驚くほど軽く細い枯れ木のような体だった。
「お嬢様、何不自由なく幸せにとはいきませんが、ずっとこの庭を見つめながら一緒に老いていくことはきっと誓えましょう。」
地下、と見た時点でファンタジーかホラーしか思いつきませんでした。
なのでこんな感じになりました。
ちょっと長引きそうだったので、中途半端な終わり方になってしまいました。
どうにかうまく終わらせられるようになりたいですね。
(設定間違えて行数足りてなかったので増やしました。271120)