さよなら葦花町 4
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少しずつ周りの建物が崩れはじめている。
あいつが町役場ごと爆破したのか。
「おい! はやく迎えに来てくれ! そうしないと実験がーー」
「実験実験うるさいな……」
現首相が呆れながら言う。
「うるさいだと……!? 貴様この国の未来に関わる実験をーー」
「その実験はとうの昔に凍結してある」
「は!?」
「人体実験など持ってのほか。前首相もそして貴様もわかっていない。教えてやろう。国に必要なものは軍事力ではない。人だ」
首相は語気を強めて言う。
「国は人なしに存在しえない。国あっての人ではない。人あっての国なのだ。その人を実験の対象にするなど持ってのほか! 貴様のやってることは国家への反逆そのものだ!」
「な、な……?」
「助けなどよこすわけがない! 人を人とも思わんやつに生きる場所はこの国にない! 生きたければ自力で帰ってこい! 帰ってきても貴様の場所はないがな!」
そう言って電話が切れた。
「くそがぁ!!!」
崩れゆく建物の中で男は電話を地面に叩きつけた。
「私はこのままでは終わらん! 私に反抗したやつら全員を後悔させてやる! 絶望的な軍事力の前で人はひれ伏すことしかできないんだ!!!」
建物は完全に崩れ落ちた。
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何人もの人間がその場所に集められていた。
百人ぐらいいるだろうか?
何分かおきに人がある部屋に入っていく。
誰も出てくる人はいない。
部屋の中から叫び声のような音が聞こえる。
いったい中で何が起こっているのか見当もつかない。
やがて私がその部屋に連れて行かれた。
中に入るとひとつの薬を飲まされた。
その瞬間、明らかに自分の身体に変化が起こったことがわかった。
でもその正体がなんなのかはわからない。
しばらく時間が経つと違う部屋に行くように命じられた。
その部屋を出て行く前に床を見ると赤く染まっていたことに気づいた。
もうひとつの部屋に行くと四人の人間が待っていた。
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「それが私たちってことですか……」
「ええそうよ」
明美はそう言った。
「おそらくあの薬に適応できなければ死んでしまうんでしょう。あの床も適応できなかった人間の血でしょうね。白かったはずの床がほとんど赤く染まっていたもの」
そう明美が言うと全員が唾を飲み込んだ。
一歩違えば、自分がそこで死んでしまってもおかしくなかった。
「その部屋に入ってからしばらく観察が続いたわーー」
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この部屋に入ってからどれぐらいが経っただろう?
時間を把握できるようなものはこの部屋にはない。
大人がこの部屋に食事を運んできてくれること以外に変化はなかった。
娯楽もないからいつも五人の中で大人の女性の人がしりとりをしようと言ってくる。こどもたちのことを思ってのことだろうがあいにくしりとりを楽しめるような精神年齢の人間はその女性以外にいなかった。
やることもないので五人で話をしていくうちにどんどん仲良くなっていった。
それもそのはずだ。わけのわからないうちにこんな場所に連れてこられてしまい、変な実験に付き合わされるという常人ならまず経験できないことを経験した人間たちなのだから。
お互いが何者なのか、お互いの夢なんかを語り合った。それしかやることがなかったからだ。
そしてしばらく時間が経ってから一人の人間に変化が現れた。
一人の少年だけ異常にはやく動くことができるようになったのだ。
それは時を操る能力だとその少年に伝えられた。
またあるとき一人の人間に変化が表れた。
その成人男性が力を込めると爆発が起こるようになった。
それは爆発を起こす能力だとその成人男性に伝えられた。
またあるとき一人の人間に変化が表れた。
部屋の外にいる大人を自在に操ることができるようになった。
それは人を操る能力だと教えられた。
同じように私も身体が鉄になる能力だと教えられた。
でも一人だけずっと何の変化も起きなかった。
その内痺れを切らした大人たちが彼女を部屋の外に連れ出そうとした。
「大丈夫、何にもしないからさ」
「嘘つかないでよ!」
その結果、彼女は嘘を見抜くことができる能力だとわかった。




