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咲き乱れる空華乱墜。終



「とりあえずユーリニスとの関係を教えてくれ」


内容によっては看破できない事態を招きかねない。


「同じ上位ランカーで顔を合わせる程度。決闘前にも言ったけど代理決闘の代表になるため紹介して貰った。『蝦蟇の貯金箱』はユーリニスの出資してる商人ギルドだから。…さっそくルウラの男性遍歴をちぇっく?。ふぅー。束縛は嫌いじゃない。いいぜかもん」


違うわい。


「…思い込みが激しい女は嫌われるってキャロルが言ってた。キュー。あれがそのタイプだよ」


ーーきゅ…きゅきゅ?


「へい。お子様はしゃらっぷ」


「…喧嘩はすんな。それとラウラとは兄妹だよな?あまり仲が良くないって聞いてるが」


「いえす。あいつってばちっさい頃から指図ばっか。ルウラは自由がお望み。ラウラは頭が堅い家族の異端児。…わたしは問題児?のー。理解が足りないのはあっち」


「ふむ」


「特にひどいのは五ヶ月前に違法薬物を取引してた商人ギルドをルウラが壊滅させたのに…老若男女全員ふるぼっこの大活なのに…非難の嵐でむかつく…ふぁっく。会議の結果は謹慎処分。不当な世の中。理不尽な条理。ラウラは庇わなかった」


「…全員が取引に関わってたのか?」


「さあ。悪いことしてたのは事実でとぅるー。罪を裁くじゃっじめんと。疑わしきは罰せよえいめーん」


関係ない人まで巻き込んだ印象だが…ラウラの話も聞かないと分からんな。


「わかった」


「うぃー」


こうしてみると可愛い不思議ちゃんにしか見えない。


…あの変貌っぷりは一体、何だったのか。


それも聞いてみよう。


「気になってたんだが決闘の途中に人格が一変してなかったか?」


「昔からの癖。本気で戦うとすぐ終わっちゃうから普段はきーぷしてる。阿護の盾をぶろーくんしたゆーなら『ばーじょんつー』でも死なないと思った。あのまま戦ってたら『ばーじょんすりー』までいったかも」


更に上があるのかよ…。


「ゆーは自慢していいよ。わたしの『ばーじょんつー』と戦ってゔぃくとりーしたんだから」


「ルールに助けられただけさ。ルウラには敵わなかった。若いのに凄いよ」


急に褒められ照れている。


「素直な言葉。そーゆーのって好かれる。ルウラも結構、惹かれる。…ぃぇー」


「怪我させた張本人のくせに」


「戦えば通じるはーと。今日の敵は明日の友。がーるは細かいことを気にし過ぎ。まるで小姑の小言。聞き流す戯言。ふぅー」


アイヴィーは今にも唸り出しそうな形相。


「煽らない。…色々、答えてくれてありがとな」


「のーぷろぶれむ。用事も済んだし…わたしはごーほーむ。今度、ゆーの家に遊びに行くからよろしく。ゆっくりとーくを楽しもう」


「来ないで」


「じゃ。ゆー。…それにがーるもしーゆーあげん」


「来ないで」


「お、おう」


ルウラが医務室を出る。


「……」


キューを抱き締めるアイヴィーは不機嫌そう。…露骨に他人を敵視してる姿は初めて見た。


「そんなにルウラが苦手か?」


「……悠を怪我させたし話を盗み聴きした。…馬が合わない」


仲良くなれそうな気もするけどな。


程なくしてレイミーさんとラウラ達が医務室に来た。


案の定、質問責めにあったが誤魔化してやり過ごす。


納得してなかったが機会を見て事情を話すと言うと最後は折れてくれた。


随分、心配させたみたいでメアリーは泣いていた。


ボッツは賭け金がどうとか騒いでるしラッシュが一番冷静だったな。


レイミーさんとは後日、オーランド総合商社で報酬金の支払いを含め会う事になる。


ルウラの事は……ラウラとエリザベートに改めて話そうと思う。ちょっと考えがあるし。


兎に角、今回の代理決闘は強くなる必要性を意識させる結果となった。


三十歳で強くなりたいって言葉にすると変な感じだがミコトのお陰で伸び代はまだある筈。


その後、皆と一緒に闘技場を出て家に帰宅した。




〜深夜 首都ベルカ郊外 森の廃墟〜




ベルカの郊外にある荒れ果てた廃墟施設。


「……大変な結果になったが…まぁ、良い。何れあの土地は必ず手に入れる」


窓から月を見ながらユーリニスが呟く。


「んー!んん〜!」


猿轡を噛ませられ縄で縛られたガマローネ。

必死に暴れて涙を流しながら叫んでいる。


「商人ギルド『蝦蟇の貯金箱』は部下に継がせるとして…ガマローネ。お前には死んで貰う」


「んんん!」


「代理決闘の敗北はお前が悪い訳じゃないが…負けて不正取引や賄賂の裏事情を知ってる貴様を生かして置くと不都合が生じそうでね。…私も悲しいが恨まないでくれ」


「んんんんーーッ!!?」


「大丈夫さ。痛みは一瞬だ。…殺せ」


ユーリニスの一言に鈍器を手にした配下がガマローネに近づく。鈍い打撃音が廃墟に響く。


肉塊となったガマローネの猿轡から血が溢れた。


「死体は廃棄場で処理しろ」


「はっ!」


ユーリニスの指示で部下達がガマローネを引き摺り出て行く。


「……黒永悠…捨て置けない存在だ。味方に引き込むべきか否か…どの道、計画を妨げる不安要素は排除する他ないがな」


月に照らされ薄く微笑むユーリニス。

その瞳に深く濁った暗い意思を宿していた。



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