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決意の夜。〜アルマの封印〜


〜夜21時 マイハウス 庭先〜


「ふぅー」


家事を終えて一服中。紫煙が夜の空にゆらゆらと消えた。


…時間が経つのは早い。異世界パルキゲニアに来てもう半年以上経過したがここまで順風満帆な生活を送れるとは想像してなかった。


友人が居て家族と呼べる人達がいる。…いや、アルマとキューは人と言えないが。


自分の家を持ち仕事をして生活して気付けば俺が望んだ暮らしが実現していた。


ファンタジーゲームのような不思議な世界で…。


ちょっと感情的になってるかもしれん。


ーーーよいしょっと。


「アルマか」


ーーーアルマ様よ。


「はいはい」


二時間前に家を買った話をしてから落ち着かない様子だった。食べ過ぎでお腹壊したか?


「さっきから様子が変だぞ」


ーーー別に…。あんたって物好きよね。わざわざ家を買うなんて。お陰で当分は退屈しないて済むけどさ。


「当分?」


ーーーわたしはこの地に封印されてるし生きる時間が違う。必ず別れがくるって意味よ。


「……」


そうか。アルマは…。


不意にミコトとアルマの境遇が重なって思えた。


孤独に永い時を生きて過ごすのは耐え難い苦痛で拷問に近い。…封印って恐ろしいスキルだな。


「ランダを恨んではないのか?」


ーーー恨んでるに決まってんでしょ。土地に封印した挙句、奴隷みたく働かせたのよ。…虐待に名誉棄損…人権無視で訴えたら余裕の勝訴ね。


恨んでる割には楽しそうに喋っている。


ーーー……でも最後は封印を解こうとしてくれた。叶わず死んじゃったけどね。なんだかんだ……嫌いじゃなかったわ。


「複雑なんだな」


ーーーふん。


物憂げに佇む。


「……」


その姿を見て俺は新たに目標を決めた。


タバコを吸って煙を吐き出し決意を言葉にする。


「俺がその封印を解いてやる」


ーーー……え…。


驚き俺を見上げるアルマ。


ーーー…拾い食いでもして頭がおかしくなった?


「それはお前だろ。…真面目に言ってんだよ」


ーーー……。


「孤独に生きるって辛いだろ」


ーーー………。


大食いで憎まれ口は叩くし意地っ張り。


けど俺は知ってる。寂しがりで世話焼きな優しい奴だって事も。


過去に罪を犯しても贖罪は十分に果たした筈だ。


「アルマは一人じゃない。俺がいる。アイヴィーもキューも…俺たちは家族だろ?…別れとか寂しいことは言わないでくれ」


ーーー……!。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『…解印できず…先に…逝っちゃうわね…しわしわの…おばあちゃんになって……時間が経つの…は早いわ…』


ーーー……よぼよぼのババアの癖に無茶な旅ばっかして体壊してんだもん…歳を考えなさいっつーの。…一緒に居てくれるだけでよかったのに。…馬鹿よ…ランダは大馬鹿だわ。


『ふふ。何年…何十年…一緒に居たけど…今となっては…その憎まれ口が恋しいわ』


ーーー……。


『……アルマ。…魔王と呼ばれた…恐ろしい貴女はもういない。…いつか……貴女…を理解して…封…印を解く…人が…きっと現れる…。わた…しには…その未来が……』


ーーーランダ…?


『……ごめんね…でも…わ…たしは何時だっ…見守っ…いるか…ら。ア…ルマ…アルマ…?』


ーーーわたしはここよ。傍にいるから…。


『わた…しの…大……な家…ぞく…独……りじゃな…』


ーーー……ランダ。わたしもあんたが…。


『……』


ーーー…ランダ…?…ランダってば…起きてよ。


『……』


ーーー…どんなお願いも…聞くから…わがままも…文句も…言わないから…。


『……』


ーーー……目ぇあけなさいよぉ…!…バカバカバカ!!バカランダァ…!!


『……』


ーーー…独りに…しないで…。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ーーー…あはは。ランダの言ってたとーりじゃん。


アルマが呟く。


「?」


ーーー…なんでもないわ。そうね…期待しないで待っててあげる。下僕の務めをせーぜー果たすがいいわ!


お。いつもの調子に戻ったな。


「…はいはい」


ご機嫌な様子で尻尾を揺らすアルマと星空を眺めた。


アルマの封印を解除する…今後の活躍方針の一つだ。


時間は掛かりそうだけど頑張らなきゃな。



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[一言] そういえば主人公は対人戦上手くなった?
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