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花畑を作ろう!

8月4日 午前11時37分更新

8月4日 午後14時02分更新

8月4日 午後20時40分更新



〜20分後〜


工房で見つけた大き目のフラスコ型の水槽に、適温まで沸かした湯を入れ、試験体004号をケースごと入れる。


「体液……ま、血でいいよな」


親指を噛み、血を数滴垂らした。


「………」


椅子に座り、変化が現れないか様子観察をする。


〜30分後〜


「何も起きない、か」


微塵も変化がなくケースはフラスコに浮いたままだ。


「……さーて好奇心は満たされたしもういいや」


水槽を工房の空いてる大棚のスペースに移動する。


「夕飯まで時間あるしエンブレムと制服でも考えるか」


紙を引っ張り出し、鉛筆を握る。夕飯まで案の試行錯誤を繰り返した。お陰でいいデザインも浮かび、今日は作業が捗った充実した一日になったと思う。明日は午前中、最近、放置気味の畑仕事を……午後は巌窟亭へ納品とナターシャさんに約束の(沈檎の蕾)を届けに行くか。



〜深夜0時 マイハウス 地下一階 工房〜



皆が寝静まり日付が変わった瞬間、大棚に置かれたフラスコの中で、試験体004号のケースが突如割れた。


揺れは次第に強くなり、罅が入る。


完全に割れると、ケースは水槽の水に溶け無数の気泡が泡立つ。


水も薄黒く変色し、不可思議な煌めきを放った。


ーーー………。


人造兵器の鼓動が永い時を越え、再び脈打つ。


まだ目に映らない微生物程度の大きさ……試験体004号は静かに()()を漂う。



〜向日葵の月21日 マイハウス 野菜畑〜



起床し着替え、畑に直行する。

二時間程で雑草を刈り取り、水と肥料を撒き終わった。


まだ朝といえ太陽が燦々と照らす夏の朝だ。陽光がジリジリと首筋を焼き、額から汗が零れる。


「ぷはっ……水がうまい」


こーゆー日の冷たい水は喉越しが最高!


「次は収穫、収穫っと」


〜20分後〜


収穫し終えた甘熟ツリーの果物と畑の野菜を保管箱に納める。


「よし」


一通り野良仕事は完了……んで本題はここから。


「この辺を開墾すりゃいっか」


鍬を肩に担ぎ、池付近の空いてる一画へ移動する。


事の発端はアルマだ。

緑豊かな土地ほど神樹の若木も活性化すると昨晩、言われ花畑を作る事に決めた。俺自身、景観が良くなるのは大歓迎だし柄じゃないが花も嫌いじゃない。


自然を満喫できる庭園って素敵だしね!


「ふん」


早速、鍬を振り下ろし土を耕し始めた。


〜1時間10分後〜


「ーーーーま、こんなもんだろ!」


何回も往復し畝を作った。


パラメーター(筋力・敏捷・技術)様々ってか?」


途中、残像の分身ができてたような気がする。


とりあえず野菜畑と同じく、肥料を撒いて……っと。


「これでオッケー!早速、植えるか」


ちなみに植えるのはこれだ。


ーーーーーーーーーーーー

爆発花

セメタリーフラワー

マグマダの花

輝花パーンラム

フラムレアの花

ラフレルシアの種

沈檎花

蛆花の蕾

無力の花

虫喰い花の球根

ーーーーーーーーーーーー


各地で採取した花類の素材アイテムである。


「育つか分からないけど物は試しだ」


失敗したら潔く花屋へ種を買いに行けばいいしな。


〜10分後〜


等間隔で畦に花を植え、我が家の花畑が完成する。


「このまま綺麗に育ってくれると嬉しいな」


素人感丸出しな感想だけど、育った環境下が違う花の組み合わせは、彩豊かで良い味を出してると思う。


ーー嵐飛龍の風玉により雨雲を呼び雨が降りますーー


嵐飛龍の風玉を翳すと雨が降り注ぐ。


「あとは柵で囲って……そーだ!この機会に畑に看板を立てるのもいいかも」


確か小屋に余ってる木材と塗料が置いてたっけ?


そのまま、朝食の時間まで野良仕事を行った。



〜午前7時40分 マイハウス キッチン〜



朝から張り切って働いたお陰でお腹がペコペコだ。


「おふぁふぁひ」


「は〜い」


オルティナに皿を渡し、モーモー脂の野菜炒めをよそって貰う。


「んぐんぐ……サンキュー」


いやぁ炒めた野菜と脂がマッチして美味い!濃い目の味付けで食が進むぜ。


「今朝はユウさんもいっぱい食べますね〜」


「畑仕事で腹が減ってな……あ、言われた通り花畑も作ったぞ」


隣で山盛りの目玉焼きをかっ食らうアルマに喋る。


「うにゃ!やっぱ目玉焼きはソースが一番ね」


飯に夢中で聞いちゃいない……ってアルマはソース派か。ちなみに俺は目玉焼きには塩胡椒。


「アイヴィーは見てるだけでお腹いっぱい」


「ルウラも」


二人はスプーンとフォークを置いた。


「も〜食べなきゃ大きくならないよ?はぐっ」


そう言ってオルティナは五枚目のトーストパンを頬張る。


「オルティナは栄養が胸に吸い取られてるから」


「……それでびっくになるなら苦労しない」


「おいふぃ〜」


……まぁ成長度合いに個人差はあるよな。


孤児院での覚醒を見る限り、アイヴィーはかなりのプロポーションだったがルウラはどうなのだろう?


ーーきゅむきゅむきゅむ!


ーーーガプガプッ!


ーーシャムシャム……シャ〜。


あっちでは召獣の三匹(キュー・ウルカ・チビ)が仲良くご飯を食べている。食欲旺盛で肉でも野菜でもペロリ、だ。


この調子じゃ数日中に肉と魚の備蓄が必滅だ……前々から考えてたが、直販してくれる店を探そう。家族に腹一杯に食わしてやるのは、大黒柱の義務だし稼ぎもある。


「むしゃむしゃ…ごくん!…そーいえば悠」


「おう」


「今度、モンスターを大量に狩ってきなさい」


「大量に?」


「あの子達に食わせるの」


三匹を一瞥しアルマは続けた。


「育ち盛りだし栄養が足りなくなるわよ」


「なるほど」


次回の探索は巨獣骨の塩湖を予定している。


「それだと次は大型のモンスターでも狙うか」


「んにゃ」


同行するエンジにも良い経験になるだろう。


三十分後、朝食を済ませると他全員は稽古場に移動した。残った俺は食器を洗い、洗濯物を干して昼飯を作り置きし家事を終わらせる。巌窟亭に行く前にアルマの依頼のヒントを探すため、書斎でランダの日記を読む。お陰で対象のモンスターの一体が、巨獣骨の塩湖に生息する事が判明した。


『地鳴りの正体』の異名を持つ怪獣ギドン。このモンスターに巣食う寄生虫(煉獄虫)が目標の素材である。


……まぁ案の定、大したことのあるモンスターだった。


文章によると弱点部位以外の攻撃を無効化するアビリティと攻撃範囲を拡大するスキルが要注意……アルマは余裕なんて言ってたがとんでもねぇ!


油断せず挑むとしよう。



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