歴史が語る真実 ③
6月28日 午後13時25分更新
まぁ喜んで貰えると苦労が報われるよね!
その夜、材料を奮発した夕飯はエキドナとチビに大好評で満足そうに蟠を巻き丸くなった姿には、思わず笑みが溢れた。
明日、ビガルダ宮を出発し帰路につく。エキドナは別れを惜しんでいたが、また遊びに来ると約束した。
……寝る前にアイテム整理と武器のメンテナンスをしとくか?
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・モンスター
沼ダニ・変異種の死骸と素材×12
キラーフライ・変異種の死骸と素材×12
ビガルダガザミの死骸と素材×7
スラッジメイルホッパーの死骸と素材×1
ポイズンスライムの死骸と素材×4
ビガルダスライムの死骸と素材×1
マッドナイトの死骸と素材×1
マッドジェネラルの死骸と素材×1
アシッドスライムの死骸と素材×1
マッドネスクワガタの死骸と素材×5
マッドネスカブトの死骸と素材×3
歩く毒キノコの死骸と素材×1
アサシンプラントの死骸と素材×1
蠅王ベルゼブブの素材×1
・生きた素材
蛇魔人の腹鱗×3
蛇魔人の尾鱗×2
蛇魔人の艶毛×15
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・採取アイテム
ビガルダマッシュ×15
ビガルダベリー×15
毒露の滴×3
濃縮毒蜜袋×3
毒水×15
濾された毒水×10
凝縮猛毒水×3
ビガルダリーフ×3
ポイズンリーフ×3
パラライズリーフ×3
コンフュリーフ×3
驚愕の粘菌×1
驚愕の超粘菌×1
邪なる枯れ木×1
邪なる腐木×1
ラフレルシアの種×1
沈檎花×5
沈檎花の蕾×8
蛆花の蕾×2
膿瘤チェリー×1
虫喰い花の球根×1
ミクロピロラの花蜜×1
怨念の実×10
無力の花×10
慚愧の根×10
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・採掘アイテム(鉱石)
泥岩石×10
泥炭石×8
硫砒鉱×8
毒砂×5
昆虫化石×3
魔獣化石×3
瑠璃毒石×6
硫酸石×5
純硫酸石×3
重硫酸石×1
枯渇石×1
古代蛆の化石×1
古代蠅の化石×1
・採掘アイテム(宝石)
毒瑪瑙×1
泥涙石×3
四季のオパールの原石(大)×1
晴雨のプレーナイトの原石(大)×1
斜陽のサファイアの原石(大)×1
・貴重品(結晶石)
王水の雫結晶×1
・貴重品(分類不明)
ナ・ハテ族の遺品×3
・貴重品(魔導具)
カンビャメンの壺×1
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いやはや大量、大量!
最近は収集したアイテムを把握するのも一苦労だが、嬉しい悲鳴ってやつだな。
メンテナンスも終わったし寝よっと。
〜向日葵の月18日〜
快眠のお陰で気持ちの良い朝を迎えた。顔を洗い簡単な朝食を済ませる。マッピングも完了してるし帰りは来た時より大分、早いだろう。
〜午前4時45分 ビガルダ宮 ユルルングルの庭〜
早朝にも関わらずエキドナとユルルングルを筆頭に、蛇の魔物の群れが一帯を埋め尽くしていた。
ーーー……名残惜しいですが、再訪を心よりお待ちしてますわ。
「昨日も言ったけどまた遊びに来るよ」
ーーーその子の事も宜しく頼みます。
チビが眠るハントボールをエキドナは指差した。
「任せてくれ」
ーーー貴方は蛇を統べし現人神……毎夜、ミコト様の神像に祈りを捧げ、息災を願いましょう。
「大袈裟だなぁ」
エキドナが微笑み、目を細める。
ーーー決して大袈裟ではない。これは百年、千年、万年と未来へ継がれる叙事詩……私は語り部の一端を担う大役を仰せ付かりました。
「どーゆー意味?」
ーーー黒永様は解らずとも良いのですわ。
「ちょっと引っ掛かるけど……ま、いっか」
挨拶もそこそこにビガルダ宮を出発する。
エキドナ達が見えなくなるまで俺は手を振った。
〜同時刻〜
手を振り去っていく姿を眺め、エキドナは呟く。
ーーー……閑却の時代、人と魔を繋ぎ、愚かな女神が招く厄災と闘う約定の破壊者の物語…ふふふ!
邂逅の残滓で受けたミコトの啓示を思い出し笑う。
ーーー次、会う時が本当に楽しみですわ。
悠が靄の向こうに消えると集まった蛇も一匹、また一匹と密林へ戻っていく。
ーーー気持ちの良い雨ね。
霧雨に濡れた髪が、彼女の美貌を際立たせる。
ーーー折角だし神像へ捧ぐ神饌を探しに行こうかしらぁ……貴女も来る?
ユルルングルが頷き、エキドナは背に乗る。そうして伝説の魔物と大蛇は密林の奥へ消えた。
……遠くない将来、フィリアノールの繭を巡り帝国ガルバディアの将軍と悠が衝突し大事件が勃発する。この事件が切っ掛けで、悠は人種はおろか魔物も問わず雌を愛する奇人と噂が広まり、『辺境の英雄譚』の有名なエピソードの一つとして語られるのだが……真実が明らかになるのはまだ先の話だ。
〜翌日〜
帰りは開拓したマップのお陰でスムーズに移動できた。
次の日の夕方には毒沼の浅瀬まで無事、到着……と思ってたが六、七人の男女が騒いでいる。
どうも緊急事態なのか只事じゃない様子だ。
憔悴した表情の冒険者に声を掛け、事情を聞いてみる。
〜百合紅の月19日 午後16時49分 呻きの浅瀬〜
「ーーーーゴホッ!ゴホッ…最低の気分だよ…」
咳き込む彼の顔色が悪いのは、毒沼の濃霧のせいだけではなかった。
「成る程、指定危殆種か」
そいつの名前はヴォージャン。攻撃的な魔物らしい。
「…『魔猿』のクソ猿め…毒沼の入り口に陣取って人が来るのを待ち構えてやがるんだ。人肉を食って味を占めたんだろーよ……ゴホッゴホッ!」
「……」
AAAランクの冒険者は転移石碑で転移できるが、それ以下の冒険者は違う。
湿原から毒沼へ続く崖に囲まれた一本道が、仇となり迂回路と退路を断たれていた。
「あぁ゛ー…喉が痛ぇ…管理棟のジジイが『金翼の若獅子』や付近の冒険者ギルドに救難要請を出したが……『魔猿』を倒すにはSランクの冒険者を筆頭に討伐PTを組まなきゃ無理だ」
「ふむ」
「んで皆、大騒ぎってやつさ…ゴホゴホ!」
「教えてくれてサンキューな」
怒声と鼻水を啜る音が耳に届く。
「……もぅやだぁ!家に帰りたぃ!!」
「な、泣くなよ…お、俺だって泣きてーし…」
「食糧がもたねー…」
……その猿公を放って置く訳にはいかないな。




