歴史が語る真実 ①
6月15日 午後14時47分更新
6月16日 午前10時58分更新
〜数分後〜
ーーー恐らくアマ……チビはミコト様の存在を本能で感じ取ったのかも知れません。
「そうなの?」
ーー……シャ〜?
首を傾げた俺を隣にいるチビも真似る。
ーーー黒永様の下で育てば、きっとどんな魔物にも負けぬ偉大な蛇となるわ。
「うーん…」
エキドナから熱心に押され、俺自身もチビに愛情が湧いてしまい悩んだ末、家で飼う事に決めた。
新たな家族誕生の瞬間である。
まーたアルマに嫌味を言われるんだろーなぁ……にしても希少種より珍しい古代種、か。
マリーさんには秘密しなきゃヤバいのは間違いない。
ハントボールがあるし移動の心配がないのが幸いだ。キルカの卵も孵れば家が賑やかになるなぁ……ま、こればっかはどーしようもないし気長に孵る日を待つさ。
こうして、静かに夜が更けていく。
〜向日葵の月17日〜
翌朝、エキドナの勧めで密林に眠るナ・ハテ族の集落跡地へ出かける。
……背後には大量のお供を引き連れてな!ハーメルンの笛吹もビックリのレベルだ。
しかし、朝から蒸し暑い。額を止めどなく流れる汗を拭う。
〜午前8時12分 ビガルダ宮 ナ・ハテ族の集落跡〜
生い茂る草を掻き分け、目的地に到着した。
ナ・ハテ族が暮らしていた村……何年、何十年、何百年と放置された割に家屋は形を保っている。
「石……いや鉱石だ」
雨露で酸化し腐食してるが頑丈そうだ。
「エキドナは面白い物が見れるって言ってたが…」
今の所、密林に埋もれた廃村の印象しか受けない。
「!」
……っと思ってた矢先、半透明の人型の靄が辺りに現れ始めた。
「モンスターでもないようだ」
マップ表示は白なのでスルー推奨!
「……呪縛霊とか霊魂?」
無数の幽霊は誘うように奥の蔓が茂った廃墟を指差す。
「彼処に何かあるみたいだな」
罠とかの類ではなさそーだし行ってみよう。
〜ナ・ハテ族の集落跡 呪言の祭殿〜
「……ミイラ?」
薄暗い空間に干涸びた死体が並んでいる。
他にも妙な祭具っぽい物が沢山、落ちていた。
植物の生命力は凄まじく、死体を苗床に気持ち悪い花や果実を実らせていた。
一応、素材系のアイテムのようだ。
「中々、ショッキングな光景だな」
そう言いつつも平然と対処できる自分に驚く。
……神懸かった超常現象に遭遇し悲惨な光景を散々見て鍛えられてるし、何より狂気の数値が高いお陰だろう。
「あのミイラが持ってる物は何だ?」
他の死体と違い、人形を抱えた豪華な衣装を纏う死体に近付く。
「……ふむ」
振り返ると幽霊達が出口からこっちを眺めている。
俺を導いた理由がありそうだ。
「久々に使うか」
右手で箱に触れる。
「骸の呼び声」
黒霧が死体を包み、粒子が光った。
『……ガンドール…帝国へ寝返った一族の面汚しめ……愛する孫を…娘を…息子を殺した恨み…許さん…絶対に許さんぞぉ……!』
突如、怒りに震える老人の声が響いた。
「……帝国だと?」
『フィリアノールの繭を奪わせてなるものか!!…ガンドールよ…トート・アンリの風を…喰らうがいい…!』
粒子が消え声が止む。
帝国ガルバディアがナ・ハテ族の衰退に関与しているとは驚いた。
……不可思議な毒と鉄の巨人とはもしや機神兵?
「トート・アンリ…この箱のことかな」
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トート・アンリの風
・族民の命を代償に狂った呪術師が遺した呪物。
生贄の魂を土地に捧げ永続的に呪縛する代わり、死と苦痛の風が吹き、意中の相手・血縁者・子孫を不治の病に陥れる。治癒・解印することが不可能で媒介の人形を破壊し止めるしか方法はないが、呪術師を上回る狂気の数値が必要になる。
下手に手を出せば、攻撃した者にも病を齎らすだろう。
ナ・ハテ族の呪術師は代償を伴う強力な呪術・禁術を得意とする。
それは外敵へ剥く牙であり、仲間を守る盾……しかし、家族を殺された呪術師は狂気に支配され、同胞を素材に呪物を作成し復讐を果たす。
死闘から生還した契約者と従魔は、死屍累々の祭殿を眺め立ち尽くすのみだった。
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「救われねーな」
鑑定した内容は悲惨な結末を綴っていた。
……この呪術師が裏切り者を恨む気持ちも分からないでもない。
「…もう十分だろ?」
しかし、俺が此処に来たのも何かの縁だ。
呪縛された魂を解放してやろう。
「成仏しろよ」
燼鎚・鎌鼬鼠の炎で呪術師の遺体と人形が燃えると、聞くに堪えない金切り声が響いた。
犠牲となったナ・ハテ族の遺体も塵に変わっていく。
ーー……りが……と…う。
「!」
掠れた声が聴こえ、背後を振り返る。出口に集まっていた幽霊達は消えていた。
…そーゆーことか。
「どういたしまして」
当然、返答も反応もなくただ静寂が続くばかりだ。残った素材を拾い集め外へ出る。
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・採取アイテム
怨念の実×10
無力の花×10
慚愧の根×10
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〜数分後 ナ・ハテ族の集落跡〜
小さな子供の幽霊が一体だけ宙に漂っていた。
「あれ」
呪物を壊して呪縛から解放されたはずだよな?
ーーこっちだよ。
子供の声だった。
「お、おい……まぁ悪意は感じないし行ってみるか」
ついて来いと案内するように、ゆっくりと移動を開始する。
〜午前8時44分 ナ・ハテ族の集落跡 遺言のモノリス〜
誘導された先は、平べったい謎の石柱と苔塗れの奇妙な土偶が鎮座する小さな広場だった。
ーー…ばいばい。
地面に何か落とし子供の幽霊は突然、消えた。
「どーゆーこと?」
気になったので幽霊の落とし物を拾ってみる。
「こ、これは…!」
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・四季のオパールの原石(大)
季節毎に色と輝きが変化する不思議な宝石。
オパールが採掘できる鉱山で極稀に採掘可能。超高額で売れる他、加工することで特殊な素材に流用できる。
・晴雨のプレーナイトの原石(大)
透明な石の中で雨が降っている不思議な宝石。
プレーナイトが採掘できる鉱山で極稀に採掘可能。超高額で売れる他、加工することで特殊な素材に流用できる。
・斜陽のサファイアの原石(大)
透明な石の中で夕陽を射す不思議な宝石。
サファイアが採掘できる鉱山で極稀に採掘可能。超高額で売れる他、加工することで特殊な素材に流用できる。
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