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仕事をしてお金を稼ごう!①



〜翌朝 マイハウス 地下 工房〜


「…すげぇ…」


ーーーーーーーーーーーーーーー

鍛治師の宝箱。

・鉄鉱石×30

・銅鉱石×30

・銀鉱石×30

・金鉱石×30

・鋼石×30

・玉鋼×30

・魔鉱石×30

ーーーーーーーーーーーーーーー


鍛治師の宝箱を確認したらかなり増えていた。


「マジで宝箱じゃん。『巌窟亭』にも預けるし全種類10個ずつ持っていくか」


地下から出てキッチンで朝食と昼食の準備をする。


「アイヴィーは今日もギルドに行かないって昨日、言ってたしアルマとキューの分もあるから食事も頑張って作らないと」



〜1時間半後 マイハウス 玄関〜



朝食後、身支度を整えギルドに行く準備を終えた。


「昼食はキッチンの『料理箱クック・ボックス』に入れてある」


料理箱は家庭製品の魔導具の一つで作った料理の状態をそのまま維持する便利品。


冷蔵庫より使い勝手が良い主婦の強い味方だ。


「うん。アイヴィーはお留守番をがんばるから」


ーーきゅー!


ーーー…ふぁー…怪我はしないようにね〜。


「いってらっしゃい」


笑顔で見送られる。


「ああ。いってきます」


冒険者ギルドで依頼をこなして巌窟亭にも行こう。


モミジに頼んでいた宝石の加工もあるし。


金翼の若獅子に向かった。



〜30分後 金翼の若獅 一階フロア 受付カウンター前〜



「おはようございます。悠さん」


「おはよう」


「アイヴィーちゃんとの生活はどうですか?」


「んー。一緒に住んでまだ一日だから何とも言えないが俺は楽しいな。アイヴィーも喜んでるみたいだし」


「ふふふ。なら良かったです。キャロルも私も気になってたんですよ。…ご自宅も大分片付いた様ですし私もそろそろ遊びにお邪魔したいなー……なんて」


ちらりと期待した眼差しでこちらを見るフィオーネ。


「…あ、ああ。その内な」


「その内とはいつ頃ですか?」


「…えーっと」


「具体的な日常と時間を教えて頂きたいです」


にこにこ顔の威圧感にも慣れ……いや、慣れない。


「そ、その…そうだ!…俺が首都ベルカに来た一ヶ月記念日で来月の26日はど、どうかな?」


焦って記念日とか言っちゃった。


中高生のカップルでもないしちょっと恥ずかしい。


「はい!櫻月の26日ですね。今から楽しみですね。うふふ」


両手を合わせ頰を朱く染め微笑む。


「…俺も楽しみです」


色んな意味でフィオーネには勝てる気がしない。


櫻月って何月なんだろ。…そういえば暦の数え方が分からないな。


「あ、悠さん。依頼を受注される前にお渡しする物と御説明したい事があります。ラウラ様にお聞きしていると思いますが個人指定依頼についてです」


ラウラがフィオーネを介すって言ってたっけ。


「『個人指定依頼ソロオーダーは通常の依頼とは違いGRは適用されません。報酬金は依頼者と受注者の直接交渉になります。依頼者はギルドに別途で紹介料を支払いますね」


「ふむふむ」


「個人指定依頼を受けられるメンバーは冒険者ギルドから人格・実力ともに信頼され実績がある者のみです。悠さんへの個人指定依頼の受付は私が窓口になります。依頼がある際は悠さんにお伝え致します」


「了解」


「…先日、御二人が悠さんにどんなお話をしたかは大体察しがつきます。ご自身が想像している以上にギルドの内外問わず悠さんは有名になりました。…十分、注意してくださいね」


有名かぁ。


「心配してくれてありがとな」


「いえいえ、当然ですよ。…このカードを御受け取り下さい。このカードは特別な材料を用いて職人が作った『甲級・転移石碑使用許可証』です。このカードを所持した状態で街道や都の転移石碑テレポーターを使用すると『金翼の若獅子』の転移石碑まで直に戻れ出入国管理所の検問をパスする事が出来ます。騎士団にも話は通してるのでご安心下さい。本来はAAランク以上のメンバーに配布されるカードですが」


「…俺、Fランクだけど?」


「AAランクの昇格依頼をアイヴィーちゃんと達成されてますし資格は十分です。ラウラ様から必ず渡せと言伝されてます」


「うーん…でも」


「…断るならカードの材料費・人件費を請求するそうです」


「……幾ら?」


「恐らく…500万Gは掛かるかと」


「ありがたく受け取ります」


払えるかそんな大金!!この薄っぺらいカードが500万G……手が震えるぜ。


「ふふ。ラウラ様も悠さんを気に入られたご様子でした。個人指定依頼はまだ承っていません」


「FランクとGランクの依頼は?」


「Fランクは……討伐依頼が二つとGランクも討伐依頼が一つありますね」


どれどれ。


バロウルフの討伐と…プルゴッコの討伐…お!あのモンスターは美味かったし死骸は今日の夕飯にしよう。


Gランクは…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クエストランク:G

クエスト名:ゴブリン軍団の討伐

依頼者:旅人 ババンダ

報酬金:0G

内容:旅の途中で見つけたんだ。東の街道から数キロ先の廃村がゴブリンの根城になってたよ。俺にはどうでも良いが一応、報告しておく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「旅人が見つけた東ベルカ街道の廃村に住み着いたゴブリンの群れみたいですね。単体の戦闘力は低いですが……大量のゴブリンとなると話は別です」


身を持って経験済みだ。


「危ないし被害が出る前に討伐してくるよ」


「はい。気をつけて行って来て下さいね。…あと今日は焼きおにぎりにしてみました」


フィオーネから焼きおにぎりを受け取る。


「ありがとう。腹が減ったらいただくよ」


転移石碑から東ベルカ街道に向かった。



〜2時間後 東ベルカ街道 廃村付近〜



Fランクの討伐依頼を早々に片付け採取しながらマップを確認し目的地の廃村を目指す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

・ベルカの薬草×3

・ベルカの薬蕾×2

・ベルカの薬花×4

・アマロンの花×2

・ミツホシアリの巣蜜×1

・バロウルフの死骸と素材×12

・プルゴッコの死骸と素材×6

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


暫く荒れた砂利道を進むと小さな崖の下に廃村を見つけた。


「…うじゃうじゃいるのが見えるな」


マップには小さな無数の赤いマークが数える気にもならない程、表示されていた。


離れた位置には少し大きなマークもある。


崖を降りて廃村に忍び寄った。



〜東ベルカ街道 廃村〜



ーーグオ!グオ!

ーーゲゲゲゲ!

ーーグゲ…グゲゲ。


木の陰から様子を窺う。


入り口には五、六匹のゴブリンが屯ろしてる。


真正面から……いや、新しい呪術を試してみよう。


ゴブリン達の前に飛び出す。


ーーグオ!?

ーーゲゲゲ!


「禁呪・白墨蛇」


左手が流血し茫漠な三匹の白い大蛇を召喚した。舌先を出し蠢いている。


ゴブリンは蛇に睨まれた蛙の如く怯み動かない。


俺も大蛇の迫力にびびって動けない。


互いに静止する。……なんで攻撃しないんだろ。


命令しろ、と言わんばかりに大蛇が俺を見た。


「…えっと…ゴブリンを攻撃しろ」


命令した瞬間、三匹の大蛇がゴブリンを強襲した。


廃屋を薙ぎ倒し次々と食い荒らし蹂躙する。


ゴブリン達は悲鳴を上げ逃げ惑うが恐ろしい俊敏さで攻撃していく大蛇。


瞬く間に青いマークに変わっていく。


怪獣映画のワンシーンを見てる気分だ……。


気付けば残る赤いマークは一つだけとなった。


ーーーーーーーーーーーーーー

MP300/4000

ーーーーーーーーーーーーーー


…圧倒的な殲滅力。MPの消費量は莫大だが純粋に威力が上昇し命令できるのは便利だ。


三匹の大蛇が戻り俺を囲み守る様に佇む。


「凄いぞ。ありがとな」


一匹の鼻先を撫でると目を細め唸る。


それを見た他の二匹も自分も撫でろと言わんばかりに鼻先を突き出す。


……ちょっと可愛いじゃんか。


三匹を引き連れ残っている赤いマークに向かう。


ーーグォォォ!?グゲゲ!!


派手な身なりのゴブリンが逃げようとしていた。


ーーー対象を確認。ステータスを表示ーーー

名前:ゴブリンの族長

種族:霊長種 Lv29

戦闘パラメーター

HP6500

筋力300 体力201 敏捷194

技術300 精神201

戦闘技:族長パンチ 族長キック 投擲

固有スキル:指揮官・強制受精・強制命令

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

廃村を根城にするゴブリンの族長。配下のゴ

プリンを従え敵を攻撃する。危機的状況にな

ると配下を見捨て逃げ出す。より強い配下を

産み出す為、異種の雌を積極的に交尾をしよ

うと襲う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…!…囲め」


大蛇がゴブリンの族長の行方を阻む。


ーー…グォ!?


「逃げんなよ」


破槌・リッタァブレイカーと魔弾・ケーロンを左右に握り突っ込む。


ーーグオォオォ!!


石を拾い投げ付けてきた。


結構な速度だが今の俺なら銃で狙い撃つのは容易い。


弾丸が投石を撃ち抜く。


ーーグャアアア…!?


右足を狙った一発が命中し肉片が飛ぶ。


裂けた柘榴に似た傷口から黒い血が流れた。


リッタァブレイカーの撃鉄を起こす。



「…おらぁッ!」



態勢を崩したゴブリンの族長の頭が爆発と殴打の衝撃で吹き飛んだ。


ーーゴブリン×81を討伐ーー

ーーゴブリンの族長×1を討伐ーー

ーークエストを達成しましたーー


「…大した事はなかったな」


〜20分後〜


「ーーっとこれで全部かな」


散らばった死骸と素材を集め終わる。


しかし大蛇はまだ消えない。


前は攻撃すれば消えたが命令が必要なのか?


試してみよう。


「一匹残って消えて良いよ」


二匹の白い大蛇が音も無く消えた。


一匹は残ったままだ。


「予想的中じゃん。…乗って帰れたりしたら楽だけど乗せてくれるかな」


大蛇が頭を下げた。おぉ…!しっかり俺の命令を聞いてくれる。移動手段にもできるって最高やん。


乗ろうとしたがゴブリンの族長が出てきた廃屋から凄まじい異臭が漂う。


…何か気になるな。


「ちょっと待ってろ」


待機させ廃屋に入った、



〜廃屋〜



「…………ッ……」


据えた匂いと血の匂い。不潔な廃屋の奥には木の棒に両手を縛られた女性の遺体が数体…転がっていた。裸で遺体には酷い暴行を受けた痕がある。


噛み傷・青痣・裂傷・骨折…数え切れない。陰部は出血し遺体の至る箇所に蛆が湧き惨すぎる光景。



「…より、強い配下を産み出す…」


吐き気よりも胸糞が悪くなる。

今更どうしようもないが…いや、待てよ。


「死者の贈り物…」


まだ一度も使用した事がない奇跡だ。


…もしかしたら家族に向けた遺言があるかもしれない。使ってみよう。


遺体に向け手を翳しMPを消費する。


『……わた…が…こん…目に……ゴブリ…の赤ちゃんなんて…産みた……くな……痛痛い…痛痛痛い痛い痛い痛い痛』


「…………」


悲痛な声が耳に響いた。…俺はこの世界に慣れ甘く考えていたかもしれない。モンスターの脅威を再認識するには充分な残留思念だった。



〜40分後 廃村の外れ〜



「…成仏してくれよ」


廃村の外れに遺体を埋葬した。咲いていた花を添え両手を合わせる。無縁仏になってしまうがせめて安らかに眠れる様に。


顔を両手で叩き気分を変える。


「…うっし!戻るか」


白い蛇に跨り凄い速さで転移石碑に向かった。



「やっ…べぇぇぇぇ!!…超はやいぃぃぃ!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ヒック…おいらは酔っ払っちゃいねぇ!!?

東ベルカ街道をよぉ!!ばけものみてぇな白いヘビがよぉ!!すっげぇはやさでうごいてたんだって!?

ありゃあ…っうっ……オエエエエエエっ!!?


マーユ村 木こり ベートベン

未確認モンスター目撃情報 櫻月の14日


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



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― 新着の感想 ―
[一言] 最近見つけて一気読み中。ペースが良くて読みやすい。族長パンチとキックが見たかった...
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