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マイホームは今日も賑やか ②

1月6日 午前11時50分更新

1月6日 午後20時35分更新




〜百合紅の月30日 午後15時40分 首都ベルカ〜


転移してベルカへ帰って来た。結構な長期遠征だったし、見慣れた街並みを眺めると無性に落ち着く。


早足で家に歩を進めた。


〜20分後 マイハウス リビング〜


「ただいま」


「んにゃ?…お!よーやく帰ってきたわね」


ソファーで寛いでいたアルマが背を伸ばし喋る。


「無事で何よりです」


兜を脱ぎ、ティーカップを片手に微笑む。


「ベアトリクスも来てたんだな」


コートを脱いでアルマの隣に座った。


「あと数時間遅ければ救助隊を連れ、龍峰へ向かうつもりでしたわ」


「だからフカナヅチは友達だって」


心配性だなぁ。


「……彼女に聞きましたが煌星龍アジ・ダハーカと知己の間柄なのは本当ですか?」


「うん」


「毎度、驚かされるわ……星を操り大空の覇者である最強の飛龍アジ・ダハーカは伝説のモンスターよ」


「まぁ…確かに最強だな」


アジ・ダハーカの実力は強さの頂点に近いレベルだろう。


「悠のアザーの加護があればこその関係でしょう」


「それは間違いない」


「にゃぷぷ!あの泣き虫が最強って笑っちゃうわ」


ベアトリクスが眉間に皺を寄せ、綺麗な顔を歪ませる。


「なんだかんだ一番、面倒を見てあげたし今でも可愛い下僕なんだけどね」


その下僕が散々、愚痴ってたのは秘密にしてあげよう。


「面倒を見たとは?」


「アジ・ダハーカだけじゃなくてあの頃のわたしは他にも色々な子を集めて面倒を見てあげてたの……いわゆる保母さん的な存在よ」


…ボコボコにする保母さん?恐ろしい保母がいたもんだな。


「泣き虫のアジ・ダハーカ…見栄っ張りの九尾…甘えん坊のフェンリル…暴れん坊のベヘモス…元気っ子のリヴァイアサン…のんびり屋のティターン……あとは生意気なヒュドレと皮肉屋のスレイプニル……懐かしいわ〜」


しみじみとした表情だった。


「……どれも歴史に語り継がれる伝説のモンスターの名前ばかりです」


ベアトリクスがぽつりと呟く。


「魔王の二つ名に偽りなし…か」


例え力を全て取り戻しても俺にとってアルマはアルマ…この関係が変わることはないだろう。


「『串刺し卿』も悠が煌星龍と懇意と知って目の色を変えてましたわ」


「あー」


内緒にしてたのをまた責められる予感がする。


「そーいえば他の皆は?」


「『金翼の若獅子』に行ってるので夕方には戻るでしょう…私は一足先に来たので」


「だったら夕食は俺が作るか」


土産に買った食材も使ってご馳走を作ろっと。


「楽しみですわ」


「にゃふーい!…いい?大事なのは量よ?テーブルいっぱいに並べなさい」


「はいはい」


キッチンへ移動し夕飯の準備を始める。


丁度、料理を作り終えた頃には五人も帰ってた。


積もる話が沢山、あるけど先ずはご飯!


〜夜19時20分 マイハウス リビング〜


「…そふぇふぁふぁいぶーの!」


「ふぁやいふぉもんがち〜……ごくん」


「もう…食べながら喋ったらはしたないよ?」


「アイちゃんもほら〜」


「がつがつがつがつがつがつがつがつがつ!」


ーーきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむきゅむっ!


いつもの食卓に四人が加わって大変賑やかである。


「がつがつがつ……ごくん」


「美味しいだろ?」


アルマが食べてるのは、ザイガナハルで購入したレムガムドンの肝を龍神の水郷で釣った龍魚ホウボウの切り身と和えた料理である。


カワハギの肝和えのパルキゲニアverってとこか?


生臭さは肝を酒漬けにして消臭…淡白な魚と濃厚な肝の風味は相性が抜群だ。


「まぁまぁね」


尻尾は正直だけど、素直に口では美味しいって言わないのがアルマらしい……ツンデレネコめ。


「龍人変異、か。吾も知らぬアビリティだ」


エリザベートは俺に矢継ぎ早と質問し答えた内容を思慮する。


「特定種のモンスターの固有アビリティかしら?」


ベアトリクスか答える。


「固有ってゆーか一定の知能とLvがあれば努力次第でどんなモンスターも習得できるわよ」


「アジ・ダハーカは龍の秘術だって言ってたぞ」


「あの子は大袈裟ねぇ…まぁ才能は必要だし血脈も関わってくるけど」


血脈って部分がキーポイントかもな。


「ふむ…龍は人の身にて天より遣わされる…里に伝わる伝承はそのアビリティが由来か」


「様々な言い伝えの謎を解く鍵となりそう」


……思いの外、凄いことらしい。


「変異系のアビリティはあまり見せにゃいもんね」


え?めっちゃ平常で見せられたけどなぁ…。


「そーいえば昔、ランダが面白いことを言ってたけど何だったっけ?デミは新しいどーたらで…ヒュームは……にゃむぅ…」


「アルマ嬢、思い出してくれ!興味があるのだ」


「ん〜〜〜…」


強く彼女は懇願するもアルマは忘れてしまったのか、唸るだけだった。


「悪いけど忘れちゃったし思い出したら教えてあげる」


「……むぅ」


肩を落とし残念そうに落胆した。エリザベートは冒険者兼学者……知的好奇心旺盛なのだ。


「まぁまぁ飯でも食って気を取り直そうぜ」


ひょいっと皿を差し出す。


「む?…そうだな」


ソテーした肉をフォークで刺し口へ運ぶ。


「もぐもぐ…うむ!これはフォレストピックの背肉だな?家畜不可能な野生の豚……上質で口触りが良い滑らかな脂は餌となる茸・木の実を沢山、食べてる証拠に違いない…美味だ」


オルドが狩ってきた獲物の余りを貰って正解だったぜ。


「しかし、あれだ…悠の秘密主義にも困ったものだな」


「えぇ」


「あの頃の事情を顧みて秘密はもうないか?ん?」


エリザベートは意地悪な口調で喋る。


…龍神の水郷もといアジ・ダハーカや飛龍にまつわることをずっと内緒にしてたのが面白くないのだろう。


「あー…うん…」


神樹も関係してるから他言は厳禁だってアルマにも言われたし……ね?


「歯切れが悪い時は怪しいよ。()()もあるし」


ラウラまでジーッと見詰める。


「同意します」


「べ、ベアトリクスまで」


「あれぇ〜…いつの間にか呼び捨て?」


目敏くオルティナが反応した。


「どういった経緯か気になるぞ」


「是が非でも喋って貰わなきゃ」


あ、あ、あうあう〜〜!どんどん詰められてくぅ。


アルマは愉快そうにニヤニヤと成り行きを見守っている。


「…そ、それはだな」


「一緒に夜を同じベッドで過ごし深い絆で結ばれた…これが答えよ」


その一言に食卓の空気が変わった。


「同じベッドで……」


「……夜を過ごした?」


「ふぅ…おっけーばばあ…ばとるたいむ突入」


「あらあらあらあらあら?」


「待てぇーい!今のは語弊がある!!」


「語弊も何も寝ましたよね?」


平然とベアトリクスは問う。


「そ、それは…」


確かにそーだけど言い方がもう……あれじゃん!


「…同じベッドで寝たらダメなの?アイヴィーはよくわからないから」


ーーきゅきゅ?


「「「「……」」」」


この後、四人にも納得できるよう弁明に時間を費やした。


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